| 2003年09月09日(火) |
監督:北野武、主演:ビートたけし |
「座頭市」よ、感動をありがとう。
友達と2人で観に行ったが、観終わった後、一言も感想を漏らさないでいた。 僕が誘ったわけだし、友達も少しおかしいと思っただろう。 が、僕は本当に感動すると無口になるか、『凄かったね、凄かったね』を連発する質なので、言葉数が少ないのは感動していた証拠。
何がそんなに良かったのだろう? 最近、心の底から感動できる作品がなかったので、それも手伝って感動したと思う。 実は、ベネチア国際映画祭で監督賞を獲った、と聞いて期待値が上がったので、その分感動できるかどうか、不安に抱きながら観に行った。 それでも最後のあのタップシーンの迫力に感動した。 あの抑圧からの開放を表現したシーンは圧巻だった。 明らかに映画館で観ないと損だ。
ストーリーはシンプルだった。 その分、時代劇としての異色性が目立って良かったと思う。 何が異色だったかは、具体的にはあとに触れる。 ギャグシーンも、無理矢理笑わせようというのでなく、座頭市の世界の日常の中に合うものだったので良かった。
目の見えない市の瞼に、ダナルカナル・タカ扮するキャラが描くというギャグがある。 ベタとも言えるが、これは、目の見えない人ならば、本当は笑い飛ばせないほど辛いもののはずである。 一歩間違えれば、『バカにするな!』と怒る人もいるだろう。 だが、寝泊まりしていた家のおばさんに『気味が悪いよと』と笑われたのに対し、市は『ふふふ、見てみたいものですね』と笑って返した。(苦笑いには見えなかった) そこに、市の強さを感じた。 そして、笑いとは、ギャグとは力強いものだと思った。 ベタなものでも、市というキャラの瞼に目を描いたからこそ、生きるギャグだったと思う。 他にもギャグが挟んであったが、殺伐とした内容の物語の中だからこそ、それぞれのギャグは一息つけるものとして機能したので良かった。
噂通り、アクションの切れも良く、最近のハリウッド映画におけるワイヤーアクションなどに飽きた我々にとっては、新鮮に映った。
世間では、どうやら姉妹の回想シーンが長いのが不満、という声があるらしいが、ああいうゆったりとしたシーンがあってこそ、アクションシーンなどがより爽快なものとして映るのだと思うので、僕はそこはオッケーだった。
この映画は不満に思う点もなく、緊張感が全編に渡ってあり、その間にさっき言った回想シーン、ギャグシーンが織り込まれていて最高の映画だと思った。 勝新版のソレを観てないが、勝新版が好きだった人は確かに受け入れられないのだろうと思う。 ただ、北野監督は、勝新版を真似て創ったわけではないので、是非皆さんには別物として捉えて欲しいと思う。 勝新版を観てないのに、双方が別物だとわかる理由がある。 金髪のあんま(市)、農民のタップダンス。 そんなものが、今までの時代劇に登場したとは考えられないからだ。 ただそういう点が違うというだけでなく、そういう点に、違うものを創ってやるぞ、という監督の決意が現れていたのだろうと推測できるから、別物だと思ったのだ。
―END―
「座頭市」に興味がある人は、テレビ愛知にて金曜放映の「たけしの誰でもピカソ」をご覧あれ。
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