時計の針が日付変更を告げた頃 携帯が鳴った。 弟からの着信だ。 一緒に住んでいる弟から電話が来るとは珍しい。 おもむろに通話ボタンを押す。
俺>「もしもし。」
弟>「あ。兄ちゃん?おれ今、焼き肉食ってるさ!」
俺>「・・・・・・用がないなら切るぞ。」
弟>「あ。待って。切らないで!」
俺>「焼き肉食ってるのを自慢するために電話したのかこら。つーかどこにいるんだ?」
弟>「あ。今、実家にいるよ。じゃ母さんに代わるね。」
俺>「え?実家に?いつ帰ったの?ちょ、待てこら。」
母>「あ。もしもし?元気かい?」
俺>「あ、あぁ母さん。元気だよ。なんで弟そっちにいるの?」
母>「ところでマフラー編んだんだけどいる?」
俺>「いや、俺の話聞いてますか。」
母>「今年は長いマフラーが流行りなんだってさ。欲しい?」
俺>「いや。あんまり・・・・。」
母>「母さんの愛を織り込んでおいたから!暖かいよ!」
俺>「ちょ、母さん。僕の話を聞いてますか。」
母>「じゃ、弟に持たせるから!」
俺>「だから一体なんの電話なのこれ!」
そんな会話を10分ほど。 電話を切った後、おもむろに目を閉じ 母から贈られるマフラーとやらに ハートマークだの名前だのが入ってないように 軽く祈っておく。
電話を切ると そこにはなにもなかった。 あの声の向こうでしていた 懐かしい、そして暖かい空気は ここには少しもなかった。 家の中は恐ろしく寒々している。 誰かの温もりも 気配すらない。
僕は一人。 真っ暗の部屋でテレビを見ながら 毛布にくるまっていた。 寒さと、寒さ以外のものに震えるように 毛布にしがみついていた。
心の底から 誰か側にいて欲しい。と願う。 ただ、いてくれるだけでいいのにと 強く 願っていた。
そんな風の穏やかな晩秋の夜。 北海道在住ステキ学生riku。男。独身。 今日で25歳。
誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。誕生日だっていうのに。
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