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楽の御気楽日記

2010年06月18日(金) ネタバレ日記

京極さんの”死ねばいいのに”のネタバレ日記です
未読の方で読む予定のある方は避けてください








やる気の無い青年・ケンヤが殺されたアサミという女の周辺の人物達に「アサミとはどんな女性だったのか?」を聞いてまわる。ニートにもなれないような言葉遣いを知らないケンヤに苛立つ人々なのだが、話していくとケンヤが人としてまともで、自分達の押し込めてきた感情が闇だと言うことに気付く。気付きながらも逆切れする人たちにケンヤは「じゃぁ、死ねばいいのに」という辛辣な言葉を投げつける。
ケンヤがあるべき人の姿で、心の闇に縛られている人々が実際の人の姿のように思えました。
何故ケンヤは恋人でもない、友達でもない、ただの知り合いだったアサミの人物像を探ろうとしているのか?まして犯人探しをするわけでもなく、あくまでもアサミという人物を知りたいと言うケンヤ。
そう、アサミを殺したのはケンヤだった。話を聞いてきた人たちは行き詰まり、なすすべがなくなってもしょうがない、生きていくしかないとぼやく。ケンヤが「死ねばいいのに」と言っても生きようとする。死にはしない。しかし、アサミは違った。傍から見て人一倍不幸なのに、その不幸よりも今が幸せだと言える強さ。そして、幸せだからこそ、幸せなうちに死ねたらずっと幸せだと。その願いを聞き入れたケンヤ。でも、ケンヤは恐れていた。首を絞めながら微笑むアサミを見て怖かった。だからこそ、アサミという女がどんな人物だか知りたくなったのだ。
人には欲があって、欲がありすぎると色々な不満が出て不要な不幸が産まれて、だけど死ぬには踏ん切りがつかない。でも、欲があまり無いとアサミのように思い切れるのかもしれない。アサミの気持ち、わかる気がしました。


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