彼はお店に、 「どしゃぶりだよ!」 と言って入って来た。
それから1時間後に、彼女は、 「傘いらなかったわ」 と言って入って来た。
彼はちょうど席を立つところだった。
お釣りを渡しながら、 『雨やんで良かったですね』 と言いかけてやめて、 「傘、預かっておきましょうか?」 と言った。
彼は驚いた顔をして、そして苦笑いを浮かべて 「・・・じゃ、頼もうかな」 と言った。
扉を開けた彼は 「星だよ!」 と言って振り返った。
私も近づいて空を見上げる。 ところどころ残る雲の切れ間から、 この街にしてはたくさんの星が見えた。
「キレイですね」
私がそう言うと、 彼は照れくさそうに、でも嬉しそうに笑って、 手を振って家路についた。
私はその背に向かって、一度頭を下げ店に戻った。
ありがとうございました。 幸せにしてくれて。
心の中でつぶやいて。
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