Missing Link

2008年01月27日(日) 趣味の問題


「何故?」

 ひどく難しい事を聞かれたような気がして黙り込む。

 何故?そう何故なんだろう。
 あなたの言葉を認めたくなく、
 あなたの主張を否定したく、
 あなたの優しさに吐きげがし、

 時々、
 あなたのそのすました顔が
 崩れてしまえばいいと思うのは。

「多分」

 そう、多分だ。自分の気持ちは何より分からないから。

「あなたが嫌いなんだと思います」

 そう、とあなたは言った。

「でもそれは理論的ではないね」

 自分の中をまた時々過ぎる感情で支配される。
 それを理論的に話すには、私は無学だ。

「すべての理論は感情で駆逐できます」
「情熱的な事だけど、その感情につける名前位は理解しておきたいね」

 私はこの人を『嫌い』と言った。
 私はその気持ちととても似た感情がもう1つある事を知っている。
 知っていると、認めて言っているんだから赦されると思う。

 あぁ、
 こんな風に感情が理論を追いやって行く。

「私はあなたが嫌いですよ」

 言葉は口に出した瞬間に、私の所有権から離れる。
 どこか遠くで同じ言葉が返されるのを、
 私は待って、
 泣くのだろう。




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