Have been recalled.
koara



 風の声を聴く・・・


風の声が聞こえる。

僕の行く方向を教えてくれる、
道端でうずくまってる僕の手を取りながら。
声にならないあの声が、
僕の心には強く響いてくる。
聞こえないはずのその声が、
他の何よりも大きくて。

風の声が聞こえる。

声にならない声を発し。
とても困ってる風なその風に。
僕は近づき聞いてみる。
「どうしたのですか?」
風は答えない。
思いつく言葉を、
その拙い言葉を、
風に投げかける。
投げかけたら・・・
風は何処かに行ってしまった。

風の声が聞こえない。

声が聞こえなくなり。
僕は風の声が聴きたくなり。
でも、風はなく、声はなく。
新たな何かに風を重ねても。
風は風。
あの時の風ではなく。
あの場所にいた風ではなく。
風を求めて風を待つ。
同じ風など吹くはずも無いのに。

風の声が聞こえない。

あれからどれだけ経っただろう。
風の声が聴けなくなってから。
僕は、今、新しい風を追うこともせず、
昔の風を探すのでもなく。
ただただ、僕に笑いかける風を待っている。
今は、それしかできないんだ。

あとどれくらい、こうしてたらいいのだろう。
あとどれくらい、こうしたいのだろう。

風の声、聴きたい。


2001年10月17日(水)
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