| 2009年06月03日(水) |
『漆の実のみのる国』読了 |
某大きな河の物語のあまりの素晴らしさに脱落しそうになる今日この頃。 今年のあれはネタ作品として見るしかないと自分に言い聞かせているのですが、それでも まだ心のどこかで後半戦に望みをかけていたりする。 だって今から名だたるベテラン俳優さんが投入されるじゃないですか。 多少なりとも時代劇っぽくなるんじゃないかと。 大きな河の物語としては期待していませんので、あくまでも�犹�代劇っぽく��で いいです(苦笑)
愛と義の為に日夜励んでいる筆頭家老の壮大な物語を補完すべく、先月から藤沢御大の 『密謀』を読みすすめてきましたが、米沢へ転封されたあとの上杉家の行末が気になって 第9代藩主・上杉治憲公の半生を描いた『漆の実のみのる国』へ突入。 藩主自ら先頭に立って行われた数々の財政改革に涙なくして読めませんでした。 実際、改革にあたったのは竹俣当綱や莅戸善政といった歴代の執政なのですが、彼らが いくら懸命に死に瀕した財政を立て直そうとしても、なかなか結果が出なかったり天災や 飢饉に見舞われて反対に借金が嵩んでいったり等々、まさに踏んだり蹴ったり。
関ヶ原のあと米沢30万石に減封された際に、家臣の数を減らしていればここまで貧乏に ならなかったかもしれないのに、どこぞの殿と家老がひとりも放逐することなく新天地に 連れて行ったものだから、後の世にツケが回ってさあ大変! 頼みの綱だった謙信公の隠し財産を食い潰したあたりから急激に借金が膨れ上がって いきます。 大名としての最低限の生活水準を守っていたら、借金せずに十分食べていけるだけの 蓄えだったのに。 足利にしても徳川にしても、たいてい中期か末期あたりに救いようのない暗愚が登場して 家を傾けていくんだよね(苦笑)
全編を通して米沢藩を取り巻く政治・経済と改革を推し進める主人公達の苦闘の日々が 描かれているので、藤沢作品の特徴でもある剣戟シーンや親子または夫婦の情愛に ついてはほとんど触れられていません。 前藩主であり養父でもある人物に対する治憲公の心情の変化には多少触れていますが メインはあくまでも藩政改革なので少々取っ付き難いかも。 登場人物の役職名の列挙や家柄についてもちょっとくどいかなぁと感じる箇所があるし。 旧体制の重臣たちとの確執や権力闘争あたりは面白いんですけどね(笑)
藤沢御大は病をおしてこの作品を執筆していたようで、最後の6ページに至っては書斎に あがる体力もなく食卓で書かれたとか。 できれば隠居したあとの治憲公と執政たちによる改革の結果を読みたかったけど、あの幕の 引き方と独特な余韻が藤沢御大らしい作風なのでしょう。
さあ、次は海音寺先生の『天と地と』だ!
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