ゴールデンウィーク 例年これといって予定がない 今年は 日記の旅 と洒落てみる
平成九年以前はどうだったかというと釣三昧でした 二泊三日釣りの旅 情報誌片手に釣り場を総なめ 星空の中ゆっくり釣り糸を垂れる至福の時 釣り価はそんなに大事ではありません(苦) 情報誌もそこにお魚さんがいたらしい(ホンとかな)程度 仕掛けは大雑把餌も大きいほどいいといった腕前です 幸せがみてとれる世界がありました
九年のゴールデンウィークは とある自動車ディラー展示場にいました ひと気はなくガードマンのオジサンに会釈をしてカタログの前 車の周りだけ明るく蛍光灯の半分は消してありました 一冊だけ箱入りの立派な扉のカタログ それは群を抜いていました 脇に抱えてその場を立ち去る 別に悪い事をしているわけではないと思うのですが 一冊しかなかったので気が引けました 誰もいなかったのがさいわいでした
父の退院が間じかでした 彼は二度の脳梗塞今回は心筋梗塞のダブルパンチでした あの時はマジ思っていました 彼を乗せるに相応しい車は そんな思いでいました 持ち帰ったのは「センチュリー」でした 三十年ぶりのモデルチェンジでそれはもう立派な車でした カタログの事を友に話したら散々笑ってくれました よくもって帰れた えらい! これを買うヒトは販売店なんかに行かないしカタログなんて見ないさ 乗るときは運転席からでも降りるのは後部座席だ そんなわけのわからない事をいい二人で泣き笑いをしました
寝たきりになると思われた父はリハビリに専念し持ち前の頑張りは 歩行が出きるまでに彼を回復させたのでした 半年が過ぎる頃彼には右半身、言葉に障害が残りました
彼に乗れる車はないか 初回のリハビリは歩く事から始め自転車バイク車といった順に上手くいき ました 二回目はなかなか改善しません ダメージの大きさが違うので しよう 僕はリハビリの道具として車がいいのではないかと考えたのです 先生は彼は車に乗れるようにはならないでしょう あきらめて下さい 僕はその年発売された ラウム に決めました 部屋、空間の意味で居住性、実用性重視の車です 介護、障害者仕様がありハンドルが軽く乗り降りがとても楽というものでした 乗れない理由 車は下半身に障害を持つヒトの為の物でした 右足はまったく動かない 右手は他人の手といわれ彼の意思に反して 勝手に動くようです 不思議な話ですし危険な事なのです
彼を見ていて僕は思ったのです 運転席に座り今までのように自然にとても自然に手と足が動いて くれるのではないか 一度だけ彼はそこに座ってくれました 満足げに笑ってくれました 勝手な自己満足が救われる思いがしました
父は元気です 近くをドライブにでも行こうかと思います ラウムは手離しました ほんとうに必要とするヒトに使ってもらっていると 思います 衝突安全試験でいい成績だったとニュースで聞きました 立派なカタログ たまには 今日あたり開いてみたいと思います
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