Kitty Thunder Ground
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2003年03月28日(金) 思い出の映画がアメリカの手によって

いつかこの日記にも書いたが、俺が生まれて初めて見た映画が『ゴジラ(85年版)』だ。
3才くらいの時で、あまりの恐ろしさに半トラウマ化し、
今でも2〜3年に一度はビデオを借りてしまう作品である。

こないだビデオ屋に行ったら、その85年版ゴジラの、『海外版』と銘打たれてあるものを発見した。

怪獣映画コーナーなんてあんまり行かないから全く知らなかったんだが、
この映画、アメリカで新撮を加えられ再編集され、英語の吹き替えがなされた、
海外版が存在するというのだ。

それが『GODZILLA 1985』である!

だもんで思わず借りてきたのだが、
ドラマ部分はところどころカットされていて深みがなくなっているし、
新撮部分は取ってつけたようだし、吹き替えはオリジナルの微妙なニュアンスを伝えきれてなかった。

具体的には、
ムッシュかまやつのゲスト出演シーンのカット(まぁムッシュ出されても外人には分からないだろーけど)。
ヒロインのヒーローへの憎しみが信頼へ変わっていく心情の全面カット。
謎のアメリカ人唯一のゴジラ評論家(レイモンド・バー)が登場するが、
評論家のくせに自衛隊にケチつけるだけで、助言らしい助言を一切しない
スポンサーなのかなんなのか、ドクターペッパーが異様に頻出
などなど、結構グズグズなのである。

中でも有り得ないのがコレだ!

オリジナルでは、ゴジラの日本上陸に際して、
アメリカとソ連の首脳が、日本の総理に、
「ゴジラを倒すには核しかない。日本領空内での核兵器の使用を認めてくれ」とバカを言う。
この提案を、総理は非核三原則を持ち出し断固として拒否するのであった。
これにより、ソ連の軍人が領海内に停泊していたソ連の軍艦に用意してあった、
核ミサイル遠隔発射装置を停止させるのであった。
ところが、その軍艦がゴジラの襲撃を受け、発射装置が誤作動してしまう。
それを軍人は、修復しようと、傷だらけのまま、半壊している軍艦内で悪戦苦闘する。
「私が止めなければ…日本に向けて核ミサイルが発射されてしまう…」
という、見どころがあるのだ。

しかし海外版では、
ソ連の軍艦は、日本に核の使用を拒否された後、
核ミサイル発射装置を停止させなかった!
そして軍艦がゴジラの襲撃を受け半壊したあと、
その軍人は傷だらけのまま、発射装置に手を伸ばす。
「私がミサイルを発射しなければ、ゴジラは倒せない…」

オリジナルと逆じゃねーか!!!

このシーンはオリジナルの映像を使ってはいるが、
吹き替えを差し替えていて、セリフを逆にしているのだ。
アメリカはどうしてもソ連を悪役にしたかったようだ。

結局核ミサイルは発射され、
そのミサイルをアメリカ軍が途中で撃破する様が、海外版の見どころになっている。
他国の映画なのに自国礼賛のメッセージを盛り込むところは、
さすがアメリカだ。


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