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父と母が来る。なんでも飛行機の回数券が余っていたらしい。昼前に電話がかかってきて浅草駅まで迎えに行く。外は涼しい風が吹いている。
実家にいた頃からの、相変わらずの雑然とした部屋の様子に母は嫌そうな顔をしていたが、それでも都心に近く静かなここが悪くないと二人とも思ったらしい。ここに来てひと月程だし部屋を探す時間は十分になかったのだけれど、彼女や親がここを少しでも気に入ってくれるのはやっぱりうれしい。きっと隅田川だと思う(笑)。
部屋には10分ほどいて食事へ。僕も1度行ってみたかったのでアサヒビールのビルをエレベーターで上る。随分高いところから隅田川の上の方を見下ろしてランチのコースだttが、・・・母にこれからのことをグチグチ言われる。言ってる事はもっともで、さすがに僕もそういう歳なんで対応予定のいろいろもあるはずだったが、未だに母の言葉を適当に流してしまう。しっかり、かどうかはわからないがちゃんとやっていこうと思う。
・・・しかし”血”なのか、みんな飲みすぎ(笑)。
地上へ降りて雷門、浅草寺。船の行く吾妻橋や神谷バーの格好いい建物を見ながら歩いて行く間何故かうれしい。仲見世を抜け往復するだけで終了。
父は何故か、前に来た時もそうだったが、銀座へ行きたいらしい。母がいるので二人でぶつぶつ言いながら秋葉へ、というわけにもいかんだろうし特にどこへ行くという話もなさそうなので・・・が何故か水上バスに乗っている。???。うろ覚えで橋の名前を順番にあげてみたりする。みんな眠たそう。日の出桟橋で下船、歩いて浜松町、新橋まで山手線。
資生堂でお茶を飲む。メニューを見てかなりびっくりしたが、僕の頼んだブランデーを入れるコーヒーが面白かった。スプーンに角砂糖とブランデーを入れたものを下からランプで温め、それを濃い目のコーヒーと一緒に出してくれるものだった。金色のスプーンと、ブランデーの色のしみた砂糖が溶けてゆく様子はとても綺麗だと思った。
山野楽器でCD。P−MODEL/船、木村弓/いつも何度でも。
銀座線の駅で解散。
帰り際、どうせ松屋か吉野家の並しか食ってない僕に母に惣菜の入った三越の袋を手渡された。「いつも何度でも。」をエンコードしながらそれを食い、いろいろあるけれどもまた明日から頑張っていこう、と思った。昔と違うのはそう簡単に帰ろう、とかいう言葉が浮かばなくなったことだと思う。もう帰る場所なんてのも無くなることを考える歳なわけだし。