身長180cm近く、足のサイズ28cmの父が、実家近辺では服も靴も見つからない、ということで、ときどき、頼まれて買いに行く。 上野か、両国あたりである。 「サイズが合えば、デザインはどうでもいいのか」と尋ねると、構わない、と言う。
が、真に受けてはいけない。
気に入らなければクレームが出る。
「デザインはどうでもいいって言ったじゃないか」
と言うと、
「限度がある。還暦過ぎて、あんなものを着られるか」。
そんなにとんでもなく派手なものを選んだつもりは無い。 紺に、小さく赤いナイキマークが入っている程度でも、父には「派手」であるらしい。 要するに、なんだかんだ言って、好みがうるさいのである。
今回は、ブーツとコートを頼まれた。 9月に入って暑かったので、送っても着ないだろうし、まだ冬物は本格的には出ていないだろうと、のんびりしていたが、此処二、三日冷え込んでいるので、上野まで出かけてみた。
中田商店で軍服を物色。 大きなサイズでも、さほど苦労しない。 毛布みたいな裏地のついたコートと、編み上げブーツ。 SWAT仕様のブーツを買おうと思ったら、サイズが無い。 軽くていいのになぁ……と、残念に思ったが、仕方ないので別のを購入。
長袖シャツ一枚では、少々肌寒かったので、1500円でレインドロップ迷彩の旧独軍のジャケットを買って羽織る。 実は前に、近所で同じのを売っていて、欲しかったのだが、気がついたら売り切れていて、口惜しかった。 が、買わなくて正解。 半額以下だ。 雨の平日だけあって、人が少なくて歩きやすいが、その代わりに、両側の店からもれなく声をかけられる。 ついつい、大トロ1パックと、レンズ豆1�圓鮃愼�。 重いからさっさと帰ろうと思ったら、雨で紙袋が破れた。 その辺の店で、大きなトートバッグを買った。
帰りがけ、ランディと待ち合わせ、焼肉屋へ。 わたしが買ったレインドロップ迷彩のジャケットを見て、ランディは苦笑。
「なんだ」
「……いや、俺は、そろそろ軍服は卒業したいなって」
んだと、こら。 どうするんだよ。
我々の持ってるコートって、殆ど全部ミリタリーじゃないか。
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