子守唄代わりの夜伽話��
不信感を抱きつつも、いつしか男は
成長する娘に愛情を持って接し始めました。
娘は、経済的に裕福ではなくても、
男の両親の持つ畑と、広い庭に囲まれ、
娘が生まれる前から一緒に住んでいた犬とも仲良く、
とても穏やかに育ちました。
土地柄を羨み、女の姪や甥がよく遊びに来ました。
畑や庭になる実を摘まんでみたり、
単車に乗ったり、冬にはソリ遊び。
娘の物心がつく少し前に、娘は、
「猫が欲しい」と、せがみました。
庭や畑には、野良猫が沢山居ましたが、
女は、色んなところを探し、
姉の飼い猫と姉妹の猫を貰い受け、娘に与えました。
猫は、既に居た犬とも仲良くなり、すぐに溶け込みました。
犬・猫と共に成長した娘は、
3年保育を受けるため、保育園に通いだしました。
入園してまもなく、娘は登園拒否になりました。
きっと、まだ親を離れる事に慣れなかったのでしょう。
それでも、男と女は仕事があったため、
泣き叫ぶ娘を無理やり保育園に連れて行き、預けました。
そして、数日が過ぎた頃、
娘のトイレの近さに疑問を感じた女は、医者に連れてゆきました。
心因性頻尿症という小児に多いものだと分かりました。
心配するような病気ではなく、
娘も、いつのまにか保育園に馴染み、その症状も出なくなりました。
穏やかに過ぎ去る日常のふとした瞬間。
猫の叫び声が聞こえました。
外へ出て探してみると、
杉の木の上で、2匹の猫が喧嘩をしていました。
1匹は、娘の愛猫でした。
もう片方の猫を追い払うため、
女は、近所の林から折って持ってきてあった5mほどの竹棒で突付きました。
娘は恐る恐る、女の影から見ていました。
「うっ」
娘の小さな呻き声に気付き、女は振り返りました。
薄暗い闇の中、女は娘を見て息を飲みました。
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娘の姿が映りました。
持っていた竹棒を引いたときに、誤って刺していました。
女は慌てて男を呼び、車を出してもらいました。
10分ほど走ったところで病院につき、
「お母さんたちは見ないで下さい」と追い出されました。
麻酔の出来ない娘の瞼はそのまま縫われ、
大きなガーゼを当てられました。
幸い、眼球に傷はなく、数週間でガーゼも取れました。
穏やかな日常に戻り、すくすくと育つ娘に、
女は、ふと告げました。
MIDI⇒『幽明』 by
VAGRANCY
2005年06月08日(水)
偽りすぎた私の世迷言
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