:::排出系列:::
俺が明日死んだって、地球は回っているんだから。
わたしは大切な秘密をあの人に打ち明けました あの人は小さな相づちをいくつか打ちながら 否定も肯定もすることなく わたしの秘密を受け入れました その日の気温は暖かく コートはもう要らなかったのでした 包むとか大切にするとかそういう言葉に 戸惑い続けていたわたしを嘲笑せずに微笑したのは 後にも先にもきっとあの人だけだと思うのです 時に擦れ違いながらそれでもわたしには あの人の耳の形も背中の広さも 小さな仕草ですら忘れることはないでしょう この世界で初めてわたしの秘密を識る事となったあの人も いつかわたしを見限ってきれいな黒髪の女性と 抱き合い始めたとしても わたしはあの人を忘れないと思います 恋人ではなく友人でもなく知人とも呼べないあの人が わたしの手を握った強さはずっと わたしの手のひらに残ってしまったのですから
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