Stage Diary
Sorry,Japanese Version Only
日本語以外の言語でのお問い合わせには応じられません。
ゴシップ目当ての方&クレーマーさんもご遠慮いただいております。


Yoshimi.Aが観た舞台の感想です。
レポートではなく感想だけを載せてたりすることが多いかも…。(^-^;


2003年09月29日(月) 市村 正親30周年記念リサイタル『オモチャ箱』

市村 正親30周年記念リサイタル…これは絶対に見逃せない!と思って行ってきました〜。
30周年というからには、今までを振り返り、あの曲やこの曲を歌ってくれるのではないかと…思って!で、予想は外れず…あの曲やこの曲を聴けた上にさらに、予想外のあの曲まで聴けました!
そして、おもちゃ箱だから、その名のとおりに楽しめる趣向を凝らしてくれるって信じてました。…市村さんはこういう期待は裏切らないでくれるので、好きです。
リサイタルだから歌で歴史をつづるだけかと思っていたら、トークもたくさん。
まあ、おしゃべり大好きな市村さんが黙ってられるはずもないか…。
まさに、『おもちゃ箱』。そして、同時にビックリ箱でもあった。
ま、まさかストレートプレイも観ることができるとは…!
でも、歌だけじゃなく、ストレートプレイだけじゃなく楽しめました…昔の写真で!

…噂には聞いたことあったけど、江戸バージョンのヘロデ王ってものすごかったんですね。(^^;

青いアフロに胸まで付いて、その先に花が咲いてる…あ、あの時代にそれは革新的過ぎたでしょうよ…今と比べたって……吃驚しました。(^^;
下村さんが来ていた衣装が地味に見える!(爆笑)

会場は、始まった時からテンション高かったのですが、笑い声が…なかなかとまりません。そりゃもう…止めようとしても止められなかったです。

でも、最初の歌はユダの曲…『あれ?ユダなんてやってたんだ…?』って思ったら…オーディションの課題曲だったらしいです。
そりゃ、『ミュージカルアクター・市村正親』の本当の最初でしょうね。
しかし、トークが楽しかった。
課題曲はユダだけど、市村さんが希望したのは『群集』『使徒』だったとか…。
大役よりも、オーディションでかかった費用を回収する為にカンパニーに潜り込もうと思った…のだそうで。本当か嘘かはわからないけれど、なんだか微笑ましいというか、市村さんらしい…。でも、それでヘロデ王になってるんだからやっぱり、当時から『演技の市村』の片鱗はあったのでしょうね。
その後には待望の、ヘロデ王の歌…衣装が当時の衣装でないのは本当に残念でしたが、凄みというのか…ヘロデ王の曲が流れ始めた途端に顔つきが変わってました。メイクもなしにあの、アクの強い王様の顔へと…。
市村さんは、こういう一瞬が本当にすごいと思います。

客席には昔からのファンも多かったけど、若いファンの方も多くて…近くの席にいた方は感嘆の溜息をついてらっしゃいました。確かに、見逃したのが惜しいと思えるくらいにいい感じのヘロデ王でした。私も観てみたかったよ!…今、すごく市村さんのヘロデ王を観たい!(でもって、ジーザスはもちろん、あの方で(笑)。私にとってジーザスといえばあの方以外に考えられないので…。(^^;)

『秋』の柿落としで『ジーザス…』を見て、下村さんのヘロデ王もいいと思ったけど…それ以上に昂揚するヘロデ王でした。…市村さんは、歌よりも演技が秀逸で、歌はイマイチ…などと思いつつも、歌だけでその世界の広がりをこれだけ見せてくれる人はそうはいない。こういう時に、ミュージカルをやる人は歌だけうまくても、見てくれだけよくても、演技だけうまくてもだめなんだなぁ…と思い知らされます。それを兼ね備えてない一定水準に満たないタレントが舞台に立つから…日本のミュージカルは馬鹿にされる。

それはさておき、その次の写真も吃驚しました。

ご本人が『昔は甘いマスクだった』と仰っていた時に会場から笑いが漏れていたのですが………本当に甘いマスクでした。
なんか、すごくかわいい感じなんですけど!
そりゃ、オーディションの時に松竹の人が『四季が取らないならアイドルに…』って言ってたというのは有名な逸話ですが、納得しました。
…今までその話の時には思い切り笑ってしまってたんですが、ごめんなさい。
確かに、アイドルでも通用するお顔でした。

しかも、市村さんはそれすらもネタにして…アイドルをやっていたら今ごろはアイドルのなれの果てで『あの人は今』に出てたかもしれない。
…って言うからもう会場は大爆笑でした。
でも、私はアイドルをやってたとしても、結局市村さんはミュージカルにでてただろうなと思う。
舞台が好きで、人を楽しませるのが好きな人だから…きっと、結局は今と同じことをしている気がします。
アイドルだった人でも舞台に憑かれて病み付きになってる人多数だし(笑)。

30年…決して短いとはいえない時間で、私が生まれたころからの役者人生。
でも、それだけの間によくもこれだけ…と言うほどのいろいろな役を演じてらっしゃいます。
王や騎士や犬や小説家やドアのノッカー(笑)や、トランペッターやゲイ…ゲイの役って結構多いですね。
『蜘蛛女…』や『コーラス・ライン』、『ラ・カージュ…』もそうだ…。(^^;
しかも、どんな役もこなしてるから多彩だ…と思わずにはいられない。
ご本人も洩らしてました。『どんな役でもこなさなきゃ、生き残れない…』って(笑)。
さらっと呟いただけだったんだけど、多分…それが楽しい舞台の裏側の真実なのでしょう。それを自分の力だけで潜り抜けてきたからこそ、役者さんたちは舞台の上ではかっこよく見えるんだろうな…と思う。
労せずしてそれを手に入れてる人は…やはり、舞台に呑まれてかっこよく見えないから。
一応、これを観るにあたって、市村さんの芸暦は抑えてきたつもりでいたが、やはり甘かったです。結構、忘れていた曲も聞けて本当に楽しかったです。
もちろん、『ラ・カージュ…』の『What I am what』は聴けるって信じてましたが、スヌーピーもシラノも市村さんのレパートリーの中では忘れがちで、聴けるとは思ってなかったし、ゲバラも見れた(聴けた)…!
どんなに信念があっても、暴力でしかそれを表現できないテロリストを礼賛する気はないけれど、『EVITA』でも、そうでなくてもゲバラの生き方は激しくかっこいいと思う。…写真は全然まーったくかっこいいとは思わないし、ゲバラTシャツを着ている人間を見ると鼻で笑ってるが!!!(笑)

そして、思う…やはり、くせのある役の時にこそ、市村さんはその本領を発揮するようだと。
他にも…『エレファントマン』なんてストレートプレイだし、これこそ、二度と観ることは叶わないと思っていた作品だけに、一部分とはいえど、観ることができたのは大収穫だったと思う。『エクウス』のエピソードも聞けた。
レパートリー外ではあるけれど、『ラストダンスは私と』も聴けた。
市村さんの両親に捧げる『ヨイトマケの唄』に『エノケンの月光値千金』も聴けたけど…しかし、タイトルがわからなくても、一緒に歌えるってのはどういうわけでしょう。私、いくらなんでもそんな歳じゃないのに……(ーー;

そして、吃驚なのが…ラッパーな市村さんを見てしまったこと。(>_<)
ラップで綴り、あいまに『ウエストサイド物語』や『コーラス・ライン』や『CATS』のダンスメドレー。
豪華ですねぇ…。しかし、あの姿には本当に驚きました。54歳のラッパー…(ーー;
昔のまま、『ウエストサイド物語』のあのポーズをキメてくれましたが、昔より身体にキレが悪くなってるので、昔通りは無理だろうと思ってたのですが、上げてくれましたよ!実際、あそこまで足が上がるとは思ってもみませんでした。
役者さんって本当に大変ですねェ…。

そして何より、素晴らしい演出でファントムをメドレーで聴けた。

…もう、最初の一音を聞いた時点で、鼻血を噴きそうになるくらいうれしかった。
ちょろっと聴けるかな…くらいの気持ちでいたので、『Music of the Night』が聴ければ◎くらいの気持ちでいたが…花で真っ赤に塗りつぶしたいほど大きな

◎!


う〜ん、でも…数ある中でも無視できないほどの大役だし、ファントムは初演当時から日本中を湧かせたし、リクエストが多いのも当然でしょうね。
ファントムに惚れたのは市村ファントムではなかったけれど、今では憎いと思うときもあるけれど、それでも…あの音を聞いただけで心が浮かれるのを止められない。
やはり…このメロディもこのミュージカルも好きなんだなぁ…。<最近は観てないけど!(^^;

ただ、市村さん一人だからデュエットは聴けなかったので(当たり前)…小鼓音さん呼んできて、鼻の穴に手を突っ込んでしまった部分を再現してくれれば…なんてことも思ったり(笑)。
これだけ好きだとかすごいとか言いながら、結局考えてることはそれかい!…っていう突っ込みがどこからか聞こえてくるようですが、いつもこんなことばかり考えているわけでもないです。
演出はそんな心の呟きとは裏腹に、幻想的でとても素敵でした。
青白く抑えた照明と、各所に配置された蝋燭とスモークがさらに幻想的な雰囲気を高める。
…本当に、この舞台が『オペラ座の怪人』であるかのよう。
そして、マスクはなくともシルエットだけで、顔が見えないように考えてあるのが心憎い。
ただ、市村さんがその後に言ってました。
『ファントムは顔を見られたくないんだから、前のお客さんはそんなに一生懸命顔を見ないでください』…って。
ファントムは人に顔を観られたくないから、『絶対に顔を見せないような演出にしたかったんです』…って主張されてましたが…でも、隠されているものを暴きたくなるのが人間ってものでしょう?
隠されれば隠されるほど、観たくなります。(^^;
ましてや、市村さんにぐいぐいと舞台に引きずり込まれるような演技をされたら……リサイタルってことを忘れちゃいそうでした。

ちょっとずつ摘んで、美味しい思いはしたけれど…やはり、もっと観た〜い!(>_<)
確かに、バラエティに富んだラインナップで楽しかったし、退屈する間もなかった。でも…いいところで止められたりもするので、生殺しっぽい(笑)。
期待を裏切らないで楽しませてくれる人だから、どうしても『もっともっと』という欲が出てきてしまいます。
でも、まあ…次は『リチャード3世』でうっとりするほどの悪役っぷりを楽しめるのを楽しみにしています。


 < 過去  INDEX  未来 >


Yoshimi.A. [MAIL] [HOMEPAGE]