ふうこの日記
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今年の春、友人の子供が死んだ。 難病で一年間の闘病生活だった。 十代の若い死。
大病院を転々としたが最後は私の住んでいる市にある病院に彼女たちは来た。 付き添いで動けない彼女に 「何でも言って。何でもするから。遠慮なしよ」といっておいた。 数日後彼女から電話があった。 「子供が見たい。というからDVDを借りたいんだけど地理も詳しく ないし・・・」 子供が見たいというDVD5本の題名を聞いて急いでビデオ屋に借りに 行った。どんな事があっても借りようと決意して。 帰ってきたDVDを片っ端から見せてもらい、ビデオ屋を移動して 2時間で何とか4本は借りれた。 あと一本・・・。人気のあるDVDなので無理かな? ・・・と思いながら
ふと新品の販売を見るとそのDVDが売っていた。3480円だった。 彼女に電話して 「買う?借りるのは人気あるから無理かもしれない。」 「う〜〜ん。いいや。それはまたにする。4本だけでいいよ。」
または来るだろうか・・・・。私は不安だった。
彼は悪性骨髄腫。抗がん剤でたたいてもたたいても起き上がる 悪性度の非常に高い種類の癌と戦っていた。その時は最終の自己移植を する前。成功する可能性は低かった。
「私が買おうか・・・」ものすごく迷った。迷って迷って迷った末やめた。 買ったら私自身がその子が近いうちに死ぬと認知しまう気がして。 それと買う事により友人にその気持ちを悟られるんじゃないかと危惧した。買えなかった。迷ったけど買えなかった。 「よくなったら見れる」「よくなるんだから次がある」 自分自身に何回も言い聞かせながら病院に向かった。 彼女と息子は病室でその4本を二日間でみたという。
それから10日経った頃、彼は亡くなった。
あれから半年経つが 私はビデオ屋に行くとDVDのコーナーに近づけない。 あのDVDを買えばよかった。と泣けてくるから。 買っとけばよかったと本当に悔やむ。
その時できることをしなければならないんだよ。 悔やんでも悔やんでもしょうがないけど彼にそのDVDを見せて あげたかった。人生最後の見たい映画だったのに・・・。 ごめんね。
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