鼻くそ駄文日記
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2001年10月14日(日) 簡単に言うけどよお

 文章のうまい人というのは、どうしてあんなに文章を書くことを簡単に話せるんだろう。
 まあ、それが才能だと言ってしまえば、悲しいのだけど、毎日毎日、一行一行、これで意味が伝わるだろうかとびくびくしながら書いている人間としては、あんなに簡単に文章が語れることを不思議に思ってしまう。
 たとえば、十代の頃、起承転結を教えてもらったとき、ある人はまだ若かったぼくにさらりとこう言いました。

 起「大阪本町、紅屋の娘」
 承「姉は十六、妹十五」
 転「諸代大名は弓矢で殺す」
 結「紅屋の娘は目で殺す」
 
 と過去の名文を説明し、「この転が大切なんだ。転の外し具合で文章は生きもするし、死にもする」んだと。
 なるほどなあ、とそのときは思ったんですが、しかし改めてコクヨの四百字詰め原稿用紙を前にすると、この「諸代大名は弓矢で殺す」のように外すという外し具合がいまいちわからないんです。
 人から助言を得ればこんな感じでまったくものにできないし、文章読本を読んでもいまいちわからない。
 最近は、文章は技術ではなく感覚なんだ、と料理の下手の人が見かけも味もひどい料理を作って「見かけは汚いけど、大切なのは味よ」と逃げてるような気分で文章を書いています。
 結局、こうすればいい文章が書けるという方法はないのかもしれませんね。


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