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2001年08月23日(木) 「氷点01」/「ストレートニュース」/ケリー・ウィーバー

 何の繋がりが?それより何?誰?→ 「氷点01」は、原作三浦綾子のドラマのリメイク。「ストレートニュース」は、三上博史主演の報道を問う形となった、去年のドラマ(関西では再放送中)。ケリー・ウィーバーは、ERという海外緊急救命ドラマのER部長の名前。

 「氷点01」の私としての見所は、「で、最後はどないなんねん」というのと、バイプレイヤー、戸田恵子、益岡徹。ただ、「昔はどうやったっけ?確か新珠三千代が出てたような・・・」という、家族揃って曖昧なため、見ているのを、つい一緒に見ている状態。つい、なのに、見ていて、私は、考えてしまうのですよ。親子って?
そして、特異な状況で養子をもらった三上の「S.N.」と、養子として育ったERのウィーバーを思い出してしまう。

 「氷点01」は、15年前、浅野ゆう子、三浦友和夫妻の愛娘ルリコ(役名)が、行方不明となり、死体で発見される事から始まる。「女の子が欲しい」と、泣く妻に、夫は、女の子を乳児員から養子にもらう。15年間、彼女、陽子(役名)は、愛情に包まれ(リッチな病院一家だし)何の苦労も知らず、太陽のように明るく育つ。しかし、封印されるべき真相を、三浦が、不注意から、もう一人の真相を知る益岡に未送信メールという形で、院長室に残したことが、悲劇の幕をきる。妻の不倫を疑う相手、吉田栄作を、何も知らない前院長が病院に呼び戻した為、三浦は動揺したようだ。実は、陽子は、当時、益岡にルリコ殺害犯には女児がいた、と告げられたことで、ひきとったのだ。未送信メールには三浦の思いが綴られていた。「私は陽子を愛するためにひきとったわけではない。犯人の子とも知らず陽子を育てた妻が、真実を知ったときの顔が見たかった」なんという恐ろしい復讐だろう。妻への疑い(ルリコが行方不明になったのは、妻が吉田と会っていたから)は今も消えない。許すこともない。だが、彼は真実を知りながら陽子と接し、父としての愛情が生まれているように思われる。
 そのメールを吉田が、送信する。吉田も、愛する人を本当に守れるのは自分だと屈折した思いを浅野に抱き続けてきたのだ。浅野はそのメールを見る。そして、その一瞬から陽子を愛する事が出来なくなるのだ。憎しみが勝ち、階段から突き落としたこともある。
 1話のはじめだかに、浅野が言う、「私の心の中には氷点がある。それは、沸点と同じ事だ。」愛情の深さが憎しみに変わった時・・・。しかし、いくら3歳の娘の命を奪った男の娘だとしても、それまでの15年間の愛情は?全く、ルリコの替わりの人形をあてがわれたように、愛情を注ぐ親子ごっこをしていたのか?現実を知れば、確かに正気ではいられない真実だ。何故我が子を殺した男の娘を?と。だが、それに、打ち勝つべき15年はないのか?もちろん、これは、ただ、現実を知ったというよりは、不義を疑う夫の愛情への猜疑心。夫をまだ愛するが故の、憎しみが、陽子に向けられているのかもしれないが・・・。実子でない、という事実は、知ってしまった陽子。「本当の親にも捨てられ、陽子にはもうみんなしかいない。今、またお母様に捨てられたら陽子は・・・」

 「S.N.」は、若かった頃、スクープ欲しさに、三上が報道で煽ったばかりに、実は無罪だった男を獄中で自殺させてしまった。男の家族は過剰な報道とそれを真実と信じる周囲の冷たい視線に耐え切れず、一家心中を図る。三上が、これは冤罪かも、と思った時には遅かった。その時、一人生き残った赤ん坊を、子供のできない妻と相談し、養子にもらって育てる事、守る事、そして、報道とは?本当の真実を伝える事とは?それを、任されたニュース番組をつくりながら、強引に見つけていくというストーリーだ。黒沢優が、娘役であったが、もちろん彼女は何も知らない。しかし、海外戦線の報道にいた三上は母の死に目にも間に合わなかった。彼女の中で、父は家族より、つまり自分より報道のほうが大切なのではという疑心暗鬼にとらわれている。色々な事件の報道を重ねるごとに、視聴率低迷で、うちきられるはずだった番組が生き返る。そしてスタッフの真実を追いかける姿勢も生き返る。そして、事件の関連で、優が実子でなく、殺人犯の娘を何故か、それをスクープした三上が引き取っている事が暴かれていく。
 うまく愛情を表わせなかっただけで、三上は優を本当に娘と思い愛していた。責任感からだけではない。それだけの歳月が親子にしていたのだ。そして優が、殺人犯の娘でいることがいつかわかった日の為に冤罪事件に仕立て上げた検察などを追うために、日本に帰ってきたのだ。本当の父が別にいたことがわかったとして、彼が、死に追いやってしまった憎むべき相手になるかもしれないのを承知で、彼女を殺人犯の娘にしておかないために。しかし、優には、実はどちらでもよかった。知った時にはショックだったが、実は、彼女にとって必要だったのは、亡くなった、実父が冤罪かどうか、自殺させるほど追い詰めたのが今の父であるかどうか、それよりも今、目の前にいる三上という男が、いつまでも自分の父でいてくれるかどうか、事件が解決したら捨てられるのか?今までどおり父でいてくれるのかどうか、それが一大事だったのだ。(もちろん二人は親子でい続ける)

 ERのウィーバーは、上昇志向の強い、しかも技術も高く、スタッフを律する力もある、強い、時には嫌味な上司として描かれている。しかし、彼女にも悩みがあった。育ての親が亡くなった時から、彼女は本当の親探しをしていた。彼女は知りたかったのだ。彼女の足が不自由でなかったら、自分は捨てられずに済んだのかを。実は、全てのエピソードを見ていないので、彼女がその後それを突き止めたのかどうか、私は知らない。規律や規則に厳しいウィーバーは、子供の命を守るためにそれを破る小児ERのダグの、敵のような存在だった。彼女は、相変わらず、規則や法律に沿う医療現場を守るために、非情な決断を下す。その彼女が、あるケースで養子の親権は得られないが、その子供と数年暮らし、心から愛している親の希望で、自分では気持ちを他人には伝えられない状態になっているその子供のために、親権を管理している人間と連絡をつける。高額医療は必要ないと、その子供に会った事もない管理者に断られたが、延命処置をした。結果、自宅謹慎になるのだが。

 養子、といういキーワードで、私の頭の中でこの3つがリンクしたのかもしれない。誰かに捨てられる。特に、親に捨てられたと思って生きなければならない子供は、その時点で希望が足りない気がする。その後、別の親に「捨てられない」、愛する人にめぐり合って「捨てられない」自信が持てるまで。彼らはいったい幾つの葛藤を乗り越えなければならないのか。


もっちゃん |M@IL( ^-^)_ヲタ""日常こんな劇場( ^-^)_旦""

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