||〜*…clover…*〜||
There are all in one.
◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆
俺は、魂が消し飛ぶ痛みを知らない。 なぜならそれは専ら俺の役割ではないからだ。 結果、其れを黙ってみているだけというのが俺に出来る唯一の方法論である。
維持と適応。飾り気の無い言葉だが、俺に与えられた役割そして俺が手出しできる範囲は其れだけだ。 無論、頭のおかしい隣人のように飛んだり跳ねたりステップを踏んだりしない。
例えば、郵便ポストに新聞が入っていたら俺は何の疑いもなく其れを新聞として認識し、手に取り、(読むかどうかは別として)持ち込むだろう。 隣人の場合。 一つ、突如として吹き飛ばす、一つ、手に取ったときには新聞がホットコーヒーになっている、一つ、そもそも新聞に気付かない可能性がある。 それ以前に新聞をとっているという前提すら覆るかもしれない。
其れだけの事を危惧する要素があるにもかかわらず室内にはすでに件の新聞が丁寧に畳んでおいてある。 八尾万のふざけた可能性と同居する、0地点。
「其れは痛みじゃないんだ。ただひたすらに哀しいだけなんだ」 「……。」
其の破天荒で終わりの無い魂が吹き飛ばないようにするのが俺の役目であるなら俺はもう長い間その役目を全うしていないことになるのだろう。 何も出来ない、のではない。 何もしてない、のか。
創るのをやめてしまった隣人が、今は喰う事で存在を保っているのも。 識っている。
あいつは自由なはずなのに。 自ら鎖に縛られている。 飛んでいくことを拒む理由も。 識っている。
其の責任の所在を問う事は、 俺には許されていない。 なぜなら 維持する事が俺の唯一にして最大の役割だから。
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