午後から休みをもらって銀行へ。今日はようやくやってきた最終決済の日だ。
決められた時間に銀行に着くと、すでにいろんな方々がてめえを待っていた。銀行の融資係の方を中心に、今回の物件を仲介していただいた不動産屋さん、売り主の不動産屋さん、司法書士の方などなど。全く見たことのないはじめましての方もいたがもはやどうでもよい。
さっそく最終決済がはじまった。銀行が見たこともない多額の金額をてめえの通帳に振り込み、そこからそれぞれに支払われていく。てめえは言われるままに出金伝票を切り続けた。
そこから銀行がお金を持ってくるまでしばらく時間があった。てめえはすみっこの方でようやくここまで漕ぎつけたという感慨に耽りしばしぼーっとしていた。そんな昼下がりだった。
てめえの前に座っていた、売り主の不動産屋が小声で隣の司法書士事務所の方に「おい、お前のところの子ども何歳になったかな」と囁いた。 「もう小3や。お前のところは?」 「わしまだ独身や…」 「そやったな」とひそひそ会話が続く。それを契機にむさくるしい男ばかりがため口でぼそぼそと会話を始めた。 「こないだ事務所みんなでインフルエンザの予防接種受けたんや。かかってしもうたら事務所閉めなあかんからな」 「ほんまか。うちはそんなことしてへんで。罹ったら休んでもらうだけや…」
初めはみな事務的だったが、おそらく狭い業界なのだろう。みんな知り合いと言うことやなあ、なるほどなあと一人合点した。
それから銀行の融資係が現金を持ってきて取引は終了した。てめえはそれを順番に配り、山のような領収書を頂いてすべて終了した。
さっそくもらった鍵を持って家へ。待ち構えていた妹と母と一緒に家の中に入り、台所などいろんなところを計測しまくった。電気も開通させた。きれいな家でほんまにてめえが住みたいわ。父付きで今の家と交換しようや、と母に提案したがたちまち却下された。
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