「大辞林」によると
投資:利益を得る目的で,資金を証券事業などに投下すること。「新事業に―する」 投機:偶然の利益をねらって行う行為。
ということになる。そんなわけで、今日はお金の話。もう、物書きが行き詰まって逃避しているんです。
普通、人は賃金や年金、あるいは不労所得など、なにがしかのお金を得て生活している。得たお金と使ったお金に差額が生じた場合、多くはそれを銀行預金にまわすだろう。特に日本では、それが当たり前のように行われている。
しかし、それでいいのだろうか? 例えば、今の政権はインフレターゲットとして年2%の成長を目指している。これが実際に実現した場合、自分の持っているお金も1年あたり2%以上増えないと、相対的に資産が減っているということになる。つまり、今の雀の涙のような銀行預金の金利では、まったく話にならない。むしろ、資産運用としては最低の方法である。
では、どうしたら良いか。「お金を増やすにはどうしたら良いのか?」について考えてみる。
まずは、投機以下のものから。
「宝くじ」
なんと恐るべきことに、控除率は55%である。つまり、売り上げの55%はどこかに持っていかれ(多くは自治体に行くので、それをよしとする人は購入しても良いだろう)、残りの45%を購入者で分け合うというシステム。つまり、100円の宝くじは、購入した瞬間にその価値が45円しかない債券と一緒なのである。一攫千金を狙うのであればまあありかもしれないが、資産運用にはなり得ない。
「馬券」
馬券の控除率は、単勝と複勝は20%で、連勝は25%である。従って、前者は購入したとたんに100円の馬券が80円の価値しかない債券である。後者に至っては75円の価値しかない。
しかし、馬券に関しては上記のハンデがあるにも関らず、「勝つ」要素はあると思っている。それは「単勝」である。控除率も低いということ、なにより競争というものは、「1位」になるものというのはある程度決まっているのだ。2位には運の要素も働くことがあるが、1位に関してはほぼ「必然」である。これはどんなものでもそうで、会社の経営者しかり、将棋や囲碁しかり、あるいはサッカーや陸上しかり、トップに立てるものというのは限られている。
「株式やFXなどのデイトレード」
ここから、投機と投資の話。短時間で行われる取引というものは、基本的にほぼ「ゼロサム」である。つまり、勝っている人と負けた人の総量はゼロになる。勝った人がいるだけ負けた人がいるのだ。そこで「いかに勝つか」を考えることになるが、その取引の性質上、最終的にはイーブンになる、つまり勝負の期待値はイーブンに落ち着く。要は、リスクとリターンは同じということになる。簡単に結論つけると「博打」である。
この場合において、勝つための作戦を練るのはもはや全く意味がない。「あればとっくに開発されている」し、「ない以上最終的にイーブンになることしか期待できない」ということになる。
いつも思うのだが、これは錬金術に似ていると思う。錬金術からいろんなサイエンスが生まれたが、錬金術そのものは誰も成し得なかった。あり得ないことをしようとしたからいろんな理論が生まれた訳で、デイトレードに関しては本当に様々な理論がある。しかし残念なことに、「博打」同様優れた理論は存在しない。あるとすれば、博打同様「答えを知っている」インサイダーのみである。要は「投機」でしかあり得ないということである。
デイトレード(正確にはスイングトレード)で巨万の富をえたBNF氏がいるが、彼は「ファンダメンタルもテクニカルも知らない。ただ自分の中にある理論(というか勘だろうな)のみで勝負している」と公言している。しかし彼は例外中の例外だろう。
「株式や投資信託などを長期にわたり持つ」
基本的に、資本主義社会である限り、経済は成長していく。物価は基本的に上がり続けるし、給料も上がる。そして株価も上がり続ける。1社だけ見れば上下しているように見えるだろうが、全体としては上がり続けているのだ。
例えば。日本が2%の成長を続けることができた場合。この場合、10年では20%(正確には、複利が効くので約22%となる)も成長する。つまり、100円で買ったものは120円になっている。
今、多くの人が好きなように100万円分の株を買ったとしよう。誰も売り飛ばさなければ、10年後は平均して120万円になっている。中にはそれ以上に儲かっている人もいれば、損をしている人もいるだろうが、総和を考えると勝っている人の方が多くなる。これが「投資」である。
日本はバブルがあったので、一時的に株価が上がりすぎた時期があったが、アメリカのダウ平均などは基本的に上がりっ放しである。つまり、基本的には常に「史上最高値」を更新している。ちなみに、ダウ平均の最高値は2014年5月13日。その後少し調整したが、また近いうちに最高値を更新するだろう。
ということは。最初の問いに戻る。「経済が成長しているのに、ほとんど増えない銀行預金で資金をプールしているのは最低」と書いた。じゃあどうするのが一番良いのか。それは、てめえの資金をほぼ経済成長とリンクしている「インデックスファンド」で持つ、ということである。しかも、経済が成長するにつれて買い足していくのが最も効率が良いし、この方法だと絶対に経済成長率以上のリターンを得ることができる。「ローリスク・ハイリターン」である。
投機は、要は博打である。趣味で人に迷惑をかけない範囲で行うのであれば勝手にやれば良いと思うが、てめえの大切な資産を殖やす目的であれば、全くお勧めされないどころか意味がないと考えている。
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