バイト先に向かう電車の中で、 ずっと人の手を見ていた。
前に座っていたのが全員男性だったので、 詳しくはずっと男の手を見ていた。
右手で左手首を掴み、 ヒザにおいてある鞄にぶつけつづける男。
やはりヒザの上に置いてある鞄の上に雑誌を広げ、 鞄の端の突起に左小指を引っ掛けて固定をし集中する男。
右手の人差し指と中指の間に、 左手の人差し指と中指の2本をいれて、 がっちり手を組み眠っている男。
ピアノを弾いているように、 ヒザの上で小刻みに指を動かす男。
目の次に気持ちや性格が現れるのが、 手や指先なのかもしれない。
これからは手にも意識を集中しよう。
無表情の方が、 考えていることを悟られない方が、
世間との接点が少なくて、 なんとなく社会に溶け込んでいる気がするから。
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