どこまで素で書けるかな?

2001年11月23日(金) こんな私に。


ダンナが仕事から帰ってきた。

一目で何かが違うことがわかる。

「おかえりなさい。忙しかった?」
「んー。いや、そうでもない」

彼は目を伏せる。

「疲れてるの?」
「うん。ちょっとね」

彼の機嫌を損ねるようなこと、
私が何かしでかしたのだろうか。

胸に手を当ててみた。
どれここれも些細すぎた。

きっと原因は私じゃない。

「どうかした?」
「……」

あまり見たことがない表情の類で、
彼はポツリと言った。

「長谷川さんが、退院したじゃん?」

長谷川さんとは、
彼が学生時代にやっていたバイト先のオーナーで、

彼が最も尊敬をし慕っている大人だ。

「俺はさ。
 てっきりさ。
 良くなって退院したのかと思ってたんだけど、
 もう施しようがなくて退院したんだって。
 会社で店長にそれを聞いて、泣いちゃったよ」

こんな時、
私は非力だ。

なんて言葉をかけていいのかも、
わからない。

いつもワガママばかりで、
頼ってばかりの、
できそこないの妻に何が言えるというのか。

慰め方を一晩考えた結果。

翌朝の朝食に、
彼が好きなタマゴサンドを作った。





*全て仮名です。


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