Sun Set Days
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2001年11月22日(木) |
『インストール』+『アメリ』 |
今日、朝から埼玉の方に出かけていて、19時過ぎに事務所に戻ってきたら、テーブルの上におみやげらしきお菓子の箱が。 そして、大きめのポストイットが。
○○さんが挨拶にきました。 おみやげをおいていきました。 おいしかったです。
箱を手にしてみる……軽い!
全部食べるんだったら存在自体を隠せよ! と一緒に出かけていた後輩と暴れてみたり。
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11月21日(水)の話。 21日は代休日で、ずっと遊びたおそう! と決めていた。
○『インストール』の話
帯には「女子高生と小学生が風俗チャットでひと儲け 押入れのコンピューターからふたりが覗いた<オトナの世界>とは!?」と書いてある。 ちょっと好奇をそそろうというのが見え見えな感じで、うーんと思うようなコピーだけれど、そういう好奇から手にとったとしても「あら?」と意外な驚きがある小説だ。 ということは、まずはたくさんの人に手にとってもらえるように、という読みでこういうコピーにしたのだろうか(深読みし過ぎ?)。 手にとって読めば帯から連想されるようなステレオタイプな物語ではないということは結構すぐわかる。 おもしろかった。 基本的には、10代のまったりとした焦燥感の話。 肩の力が入っているわけでもなくて、ただ抜けているのだけれど抜けすぎているわけでもなくて。 焦っているのだけれど、だからいますぐにどうにかしようというわけでもなくて。 なるようになるし、まずは飛び込んでみようというバランスのよさ。 焦燥感なのにまったりしているのって、現代風なんだろうか?
「リアル」ということについて考えさせられた。それから「人生の目標」という言葉について。
2作目が楽しみ。 でも、この作家の文藝賞受賞に、ショックを受けた小説家志望の高校生(特に女子)は多いのだろうなーと思う。 人は人だと思っても感情はそう簡単には割り切れないだろうし。同じ高校生ってカテゴリーに入っている人が受賞したら、ねえ。
でも、面白いものはやっぱり評価されるんだなとは実感。
○朝の渋谷散歩の話
友人の寝坊のため、合流まで朝の渋谷で時間を潰さねばらないことに。 電車の中で3分の2ほど読み終わっていた『インストール』を、ファーストキッチンで朝食を取りながら読み終える。 この年にして、しかも会社でも有名なジャンクフード好きにも関わらず、ファーストキッチンに入るのは生まれてはじめて(それで入ってみたのだけれど)。 ハンバーガーをくるむ紙の茶色がシックな感じだと見当違いなことに感銘を受けたり。 通り沿いのカウンター席に座っていたのだけれど、本を読み終わって顔をあげると通りで女子高生の5人組が立ち話をしていて、同じ年くらいの女の子が書いた小説なんだなと思う。
まだまだ時間があったので、せっかくなので渋谷界隈を散歩しよう! と思い立つ。 まだ9時台だったので、意外と閑散としている。 道玄坂、センター街などなど、それなりの大きさの通りから路地までぐるぐる歩く。 やたらペインティングで溢れ、夜の跡がどことなくまだ拭いされていないような印象を受ける。 途中、先に見える街路樹の紅葉にひかれて歩いていたら、代々木体育館まで歩いていたのでくるりと引き返す。
タワーレコード渋谷前には、なぜか長蛇の列ができていた(ストアライブ? 平日の朝なのに)。 デジタルカメラを持ってくればよかったと後悔。 朝の渋谷は、なんだかまだ本領を発揮していないみたいだった。 でも、どこかに向かって歩いている人ばかりのなかで、ただ歩いているのは楽しかったのも事実。
○HMVの話
HMVでジャネット・ジャクソンの『ALL FOR YOU DVD EDITION』を発見、購入する。 これは、最新アルバム『ALL FOR YOU』にVIRGIN RECORD移籍後の3枚のアルバム(『JANET.』『THE VELVET ROPE』『ALL FOR YOU』)のビデオクリップ集DVDが付属したもの。2690円。アルバムの方は当然持っているのだけれど、19曲のビデオクリップDVDが2690円なら買い! と思って購入。 21日は遊びたおす日と決めていたし。 しかも、「MTV ICON PERFORMANCE ALL FOR YOU」も収録されているし!(これは、MTVでのライブ・パフォーマンス)すごい! 21日に帰ってきたときには疲れ果ててみることができなかったのだけれど、今日早速見ている。 掘り出し物だ。
○川内倫子写真展「うたたね」の話
『アメリ』を観る前に時間があったので、はす向かいのSHIBUYA PARCO GALLERYで開催されていた川内倫子の写真展を見てくる。 面白かった。3冊同時に発売になった写真集(『うたたね』『花火』『花子』)それぞれの名前を冠した個展を3箇所で行っているそうだけれど、その内の『うたたね』が渋谷で開催されていた。
青白い室内で、ナタデココが盛られたスプーンを持っている写真がとてもよかった。 それと、淡いピンク色の小さな花畑の写真。 繊細な雰囲気の、透明感のある写真が多かった。 見終わった後、隣のパルコブックセンターで写真集をめくりながら、写真集に載っている写真の本物を見るのはおもしろいと思った。
この写真です。「写真集」をクリックしてみてください。
http://www.parco-art.com/s_pg/index.html
○氷川きよしの話
奇しくもこの日は、初写真集『Kiyoshing』(主婦と生活社)の発売を記念して、パルコブックセンターで氷川きよしの握手会が行われる日でもあった。 僕が『うたたね』の写真集をぱらぱらとめくっている横では、たくさんのお母さんたちが握手会の整理券をもらっていた。 みな、一様に嬉しそう。遠足の前の小学生みたい。 さすが氷川きよし。 主婦層のハートを鷲掴みだ……と感心する。
○『アメリ』の話
シネマライズは平日にも関わらず大行列。 あんまり期待し過ぎないようにしよう、あんまり期待し過ぎないようにしよう……と自分に言い聞かせるように列に並んでいた。 2階席の1番前の列(中央右から5つ目)に座る。 2階席の1番前ってはじめてだったから、そういうちょっとしたことでまた期待してしまう自分がいていましめる。 期待し過ぎないようにしようって、まるで効果のない呪文のように繰り返す。
2階はほぼ満席(1階もきっとそう。見えなかったけれど)。
映画がはじまってからは何度も笑って。
あっという間に121分が過ぎて。
映画が終わって、立ち上がる人たちがほとんどみんな満足気な表情をしていているのをみて、やっぱり! とはやる気持ちをおさえきれなくなる。
ああ……なんだか、完璧な映画だって、ツボにはまりまくりだ。 もちろん細かな気になる点はあるのだけれど、そういうのも全部含めてでももう最高! と思えてしまうのだ。
これからは「好みの女性のタイプは?」という質問には、「アメリ」と即答しようと心に決めるくらい(ツボにはまるとブレーキがきかなくなってしまうのだ)。
あんまりにもツボにはまってしまったので、いままで買ったことないのに映画のポスターまで買ってしまう。 この映画については、今度「My Favorite」の方にちゃんと書こうと思う。
○「MoMA ニューヨーク近代美術館名作展」の話
マティスの「ダンス(第一作)」がやっぱりすごかった。 あと、まさかシャガールの『誕生日』(喜びのあまり、宙に浮いて、しかも首もぐにゃりとひしゃげた男が、花束を持った女性とキスをしている有名な絵)の本物を見ることができるとは思っていなかったので素直に嬉しかった。 うわ! この絵は! と思った。 中学生の頃、教科書か何かで見て、「世界でもベスト5に入るキスだよ。だって首まがってるもん」とかふざけていた絵だったので、記憶に残っていたのだ。 僕は絵の難しいことはよくわからないのだけれど、それでも本物を見ることができるというのは、やっぱりいいなとは思った。 ピカソやクレーの作品もあった。 こちらも平日なのに非常に混み合っていた。 帰りにカタログとポストカードを買う。
来年の2月3日まで開催。 現在MoMAが改装中のため、今回はこれまで貸与が拒否されていた作品もやってきており、必見とのこと。
○タワーレコード新宿の話
『アメリ』のサウンドトラック購入。 タワーレコードの特典で、購入者にはポストカードがプレゼントされます(ただし数に限りあり)。 もらいました。
○飲みの話(1軒目)
創作料理の居酒屋。 外れ。むむ。
○飲みの話(2軒目)
炭火ダイニングという謎のカテゴリーの店。 個室系で、隠れ家のようなところに通される。 1年と数ヶ月ぶりに合う面子だったので話に花が咲く。 それぞれ違う会社に勤めているので、面白く聞くことができた。 そして気がつくと23時半を過ぎていて、慌てて解散。 終電がー!!
○帰りの電車の話
一番前の車両に乗り込む(飛び込む)。 途中から混雑が緩和され、ずっと正面の窓の向こう側を見ていた。 「電車でGO!」な感じ(ゲームはやったことないのだけれど、イメージとして)。 夜の闇が深く続いて、その先にホームの明かりがぼやっと見える光景は、酔っ払った頭には興味深く映った。
部屋に帰ったときには、0時半を過ぎていた。 遊びたおそうってずっと決めていた日で、実際遊びたおして、面白かったと思えるのでよい休日だったと思う。
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お知らせ
『アメリ』を観たいなと思っている方は、ぜひ実際に行ってみた方がいいですよ! チラシなんかに書かれている通り、これは「観る人みんなが幸せになる」という言葉もある意味嘘じゃないし! と思うし。
今日のDaysはなんだか「!」が多いのですけど。 でも本当に、「内気なアメリの不器用な恋の行方」(チラシより)を、ぜひスクリーンで! とは思うのです。
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