| 2003年04月05日(土) |
『彼方から』14巻(と5月号遙か?) |
『彼方から』の最終巻が出ました。これで本当に終わり。 ひかわきょうこは、絵柄が昔ながらの少女マンガ、という感じで、多分絵だけで食わず嫌いをしている人もいると思うんですが(今の時代の辛口の絵柄に慣れてる人は特に)。 でも、私は昔から大好きな作家さんです。
ひかわさんのマンガは、絵だけじゃなくて話がとても「優しい」と思う。 私は子供の頃からファンタジーが好きだったけど、人の命の扱いが非常に軽い、というファンタジー特有の在り方にはイマイチ共感できない部分があります。 つまり、極論を言うなら主役以外はどうでもいい、みたいな。 ひかわさんのマンガの中には、そういう一種の冷たさがあまり感じられないわけです。 脇役だから生きようが死のうが関係ないとか、悪役だから死んでも当然とか、そういう論理じゃなく、悪いことをした人でも何か救いがあればいい。イザークと対峙することで、ようやく自分の存在価値を納得して死んだケイモスも、暗闇から光の中へ生まれ変わるために長く苦しい旅を決意したラチェフも、救われた、或いはきっと救われるのだと私は信じてます。
イザークとノリコのラストもハッピーエンドでとても良かったv イザークというキャラは、個人的にはとても好きだけど、多分私がノリコの立場だったら彼を支えることは出来ないだろうなーと思います。 あれほど肉体的な強さと精神的な脆さが同時に存在する人も珍しいのではないかと。彼って結局ノリコが目に見える(存在を感じ取れる)範囲内にいないと不安で仕方ないみたいだし。 お母さんにはぐれた迷子みたいな(笑) お互い出会うべくして出会ったということでしょう。 幸せになってね(もうなってるか)。
そして、5月号の遙かと振っておいて、実はもう内容を忘れてしまいました(オイ)。 詩紋ちゃん、ますますピンチっぽいです。
天真の時も書いたからあまり書きたくないんだけど、今回のイノリの行動は好きじゃない。理由もなく金髪だからというだけで毛嫌いするような人間が八葉だというのはどうかと思うんです。もちろん八葉だって人間である以上、完璧ではあり得ないと解ってます。 イノリの場合、お姉さんとイクティダールの問題があるから鬼を普通以上に嫌っているのも解る。でも詩紋は鬼じゃないし、あちらの人間から見れば「金髪は全て鬼」だという先入観があったのだとしても、詩紋の人間性というものを、あれだけ一緒にいて見抜けないのは完全にイノリが悪い、ということになってしまうのではないかと…。 ま、広い心で見守るなら「イノリって子供ね、フッ」で終わっちゃうんだけど(^^; 人間的に彼が成長することを祈ります。(シャレではない)
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