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- 2004年09月11日(土) 時として泣きたくなる瞬間には 隠されたわけがある あまりに遠き記憶のせいで そのわけは 自分にも分からなくなって ただ 涙だけが知るものとなる。 夕暮れの公園で 女の子が1人 ブランコから飛び降りて去っていった 誰も乗っていないブランコが しずかに揺れている様を見て なぜか泣きたくなった なぜなのかは分からない 去っていった女の子にか 淋しく揺れているブランコにか それすらもわからない ただ 涙が出そうで 目の淵で零れ落ちぬよう力を入れた 例えば どこかで聞いた事のある曲だとか 誰も居ない川原とか むかし売られていた復活お菓子とか 遠い記憶があまりに遠すぎて せつなさだけが残る事 アタシはあの人の中でそんなふうに残りたい いっしょに見た映画が何年後かにテレビで放送された時 いっしょに歩いた道をほかの誰かと歩いた時 クリスマスのサンタの格好をした女の子を見た時 大雨の中に一瞬 アタシの姿が目の前を駆け抜けてほしい アタシという存在じゃなく アタシという空気をふと感じて そして思い出せないまま日々を過ごす そんなの素敵だと思う アタシが願う精一杯の 彼の中のアタシの記憶 アタシはそれで涙を流す あなたはそして 明日を生きる。 水鳥。 ...
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