【読書記録】豊島ミホ「東京・地震・たんぽぽ」

ストーリー:東京で大地震が……。そのとき、あの人は――。そんなショートストーリーがつまった一冊。

私はとにかく一つ目の導入に(いい意味で)ぞぞーっとして、ぐいぐい引き込まれて読みました。短編なのがいい。いろいろなシチュエーション、年齢設定、状況、それが突然前触れも無く激変したとき――。私は東京に住んでおりまして、実際にこういう地震がいつ起きるのだろう…と漠然とこわいなと思っているので、この小説がとてもリアルに迫ってきました。ある意味こわかったです。地震があったことで、うきぼりになった環境や自分について。気になるなと思う作品については、実はひっそり別のお話にもリンクしていたりして、とてもいい具合で読めました。地震で埋まりかけているのに、助けを求める先は夫ではない主婦、自分の大切なものを持って逃げる少年、いやな旧友に出会ってしまった少女、そして彼氏を失った女性。みんな興味深い。
ところで、あとがきでどんな事がつづられているのか、とても楽しみにしていたのに、一切なくて残念でした。単行本化しても筆者のあとがきはつかない…よね。見たかったなぁ。NO.32■p203/集英社/07/08
2008年08月03日(日)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン