みかんのつぶつぶ
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2002年12月23日(月) あれからそれから

江ノ島には、たくさんたくさん想い出があるはずなのに、なぜかどれを何をとはハッキリ想い出せない場所だ。なぜだろう?

むかしむかし、父は私たち娘3人を連れて、江ノ島で死のうと思ったという。
あのとき、桟橋の屋台で知り合った男性に写真を撮ってもらった。私たちが可愛いからと写してくれたんだ。写真を送る住所を教えた父は、それで死ぬのをやめたのだろうか。そうなのだろうか?

お天気がよく、明るい空にオーバー姿の私たち。母がいなかった時だから、髪の毛はみんなくちゃくちゃで。女の子の髪の毛は、母親の手があるかないかというある意味象徴かも知れない。父親だけでは、どこか少し違うんだなあと思う。

父は、毎朝部屋のなかを掃き掃除をし、洗濯をして仕事にでかけていった。私は小学校2年生。家には次女と三女のふたりだけでお留守番。お昼には戻ってきて妹達にご飯を食べさせ、また仕事場へ戻っていった父。疲れていたんだね。

窓から、祖母の住む街の空へ向かい、3人でよく叫んでいた。

おばあちゃーん、
おかあさーん、

妹ふたりは泣いていた。
私は、泣かなかった。
どうして泣いていなかったのだろう?

泣いたらお父さんが、かわいそうだと思っていたから。




ヨットハーバーに点灯した灯りの影をみつめながら、
そんなことを思い出していた。
今日は、父の月命日。
今日は、彼を納骨して一年目。


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