みかんのつぶつぶ
DiaryINDEXpastwill


2003年01月19日(日)

熱と一緒に横たわる私の脳から溢れ出す苦しみの数々。
内面に押し止めていた湿気が水を含み涙となって流れ出る。


彼の死を、傷というものにたとえてはいけないと思っていたが、
もう隠すことはしないでいよう。
すっかり傷跡にしてしまったことを、隠してはいけない気がする。
そう、
私は傷ついてその傷の痛みに日々耐えかねているのだ。


どれだけの苦しみがあって
どれだけの悲しみがあって
どれだけの切なさがあって
どれだけの悩みがあったのか。
誰にも誰にも誰にも誰にも
どこの誰にもそう、子ども達にさえもわかるまい。


それでも明るくしていたい、
人並みにしていたい、
病人に付添っているから暗いだなんて言われたくない、
面白いことや楽しいことが好きなんだからと主張したい、
私は不幸じゃない、


そんなことやあんなことやいろんなことを
色々色々色々と考えて毎日毎日来る日も来る日も
朝が来て夜が来てでもまた朝が来て、
でも病院にいる彼は元気にならなくて、
それでもやっぱり夜が来て朝が来て、
それでもやっぱり元気にならなくて。


蝋人形のように眠る彼の顔を毎日ただ眺めて過ごす病室で、
いつかは元気な声が聞こえるだろう、
きっと元気になるだろう、
元気になったら海へ連れて行こう、
元気になったら家に連れて帰ろう、
元気になったら
元気になったら
元気になったら
元気になったら


夜が来て
朝が来て
夜が来て
朝が来て
夜が来て
朝が来て
お昼が来て
彼は死んだ。


家に帰ってきた彼の頭を触った。
夜になっても温かいままだった。
身体にはドライアイスの固まりが乗せられているのに、
頭は温かいままだった。
悲しかった。
頭の中が、どんなに熱くて辛かっただろうかと。


だから、
自分がこんなに熱を出している時に、
ちょっとはわかるような気がするんだ。




みかん |MAIL

My追加