春の光のなか、集まる人々は花を探し、その表情は和らぐ。変わらぬ季節が巡りきて、いつの時代にもだれの頭のうえにも若葉薫る風が吹き過ぎ。友よ、そこへ佇み、煙草の煙り燻らせていた友よ。この花にも命があると説いた友よ。その眠る土の上にも、この光りと風が吹き注がれているのかと、わたしはただ、そこに集う人々を傍観し、帰り道、寂しくないように窓辺の花を買う。