みかんのつぶつぶ
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2003年09月27日(土) 柵から咲く


生きているのが辛いと言った彼。
うわ言のように囁くように弱々しい声で言った彼のその言葉。
しっかりと受けとめることができなかった。
現実に、そのひとに、生きているのが辛いと言われたら、咄嗟に何か気の利いた言葉で反応することのできるひと、いるのだろうか?
脳腫瘍という病気がそうさせているという逃げがあった。
腫瘍がそういうことを言わせているのだろうという都合のいい解釈。
まったくもって勝手な解釈をして、思いやることなんてしていなかったのではないか?

思い出すのが辛いんだ。
でも、思い出すんだね。
生きているから。

娘の泣く声を思い出す。
どんなにか悲しかっただろうかと、今更ながらに心が痛む。
この日々のなかで、きっと思い出すこともあるだろう。
お父さんの笑顔を思い出して欲しいと、密かにそっとそっと祈る。




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