uchie◎BASSMAN’s life

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2004年07月24日(土)
■ROCK ODYSSEYにて

ROCK ODYSSEY会場で偶然いろんな友達に会った。5年前に一緒にTHE CLOSETをやっていたボーカルのアツシとオルガンのマナブ、対バン仲間のキンキー・フーのベーシスト阿部、DJテリー、などなど。みんな日本中遠いところからポール・ウェラーとザ・フーお目当てに集まってきたモッズフリークだ。
まさかザ・フーのライブが見れるようになるとは思ってもいなかった。ジョン・エントウィッスルまでもが亡くなってしまったのだから。ビートルズで言えばポールとリンゴだけでやるようなものでしょう。正直クオリティーに関して期待はしていなかったし、生で体験出来るだけでありがたいと思っていた。
ザ・フーのライブが見れるというのは夢のような出来事なのだ。60年代のモッズムーブメントを映像や写真を見て想像してきた僕らにとって、ザ・フーが目の前に立っているということでやっと現実になる。60年代のロンドンを狂気させた演奏を2004年の今やっと聞くことが出来るのだ。
“I can't explane”のイントロが始まった瞬間、それは大事件が起こったような衝動だった。まさかいきなりこの曲からくるとは。“SUBSTITUTE”“MY GENERATION”などが次々とびだし、ここからパンクやパワーポップやギターポップが生まれていった軌跡を感じるのであった。
そしてその演奏力、期待以上のものを見せてくれた。ロジャーの声は衰えることを全く知らない。それどころか今までのいかにもボーカリストというイメージを超えて説得力を増し、以前は他のメンバーのキャラに押されていた感があったが、この人がいなければやはりザ・フーではないなと感じた。間奏でマイクを振り回すパフォーマンスは本当にカッコ良かった。ピートは写真で見ると最近はすっかり老いた印象があったが、とんでもない。風車奏法は健在で、寸分狂わぬその動きはまさに職人芸だ。カッティング一発で全てを語れる男だが、長年かかって蓄積された様々なギターテクにより、60年代のライブ映像で見られる演奏に対するフラストレーションからもがき苦しむ姿はなく、他の往年のギタリストよりも新鮮に聞こえるのだ。
“老いるに前に死にたい”と言っていた彼らだが、老いてもなおカッコ良く生きられると体現しているようだ。むしろ新化している気さえする。
ザック・スターキーやピートの弟の演奏に支えられ、緻密に計算されたそのサウンドとセンスは間違いなく今も世界最高と言えるだろう。
アンコールが終って彼らが去った後、僕はしばらく放心状態だった。