夢の話のつづき - 2001年10月04日(木) 壊れた船から投げ出されて海中に沈んだ人々が、やがて必死に浮かび上がって来て、私の掴まっている(しがみついていると表現した方が適切かもしれないが)船の残骸に縋ったり、その破片を見つけて浮き具の代わりにしている。 海に投げ出されたのは、十数人。そのほとんどの人が、何とか海上に顔を出しているようだった。 けれども、どう見渡してもそこに弟の姿はない。 私はもうほとんど恐慌状態だ。必死で何度も弟の名を叫ぶ。応答はない。 海の色は深く、どこに何が沈んでいるのか全く見えない。 また一つ、海から顔が浮かび出る。祈るような気持ちでその人を見たが、全く知らない顔だった。凄まじい失墜感。 私は一瞬、ここにいる人などすべて無くてもいい、見たいのは弟の顔だと思う。 そこで夢は終わる。 なんという残虐さだろう。 私が私を、人間を恐ろしいと思うのは、まさにこういうことなのだ。 狂おしいほどに愛しいと思う人の為になら、他を切り捨てる事など厭わない、その傲慢さ。 世が平静であるときのうつくしい倫理など、そこではものの見事に砕けてしまう。 -
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