夕暮塔...夕暮

 

 

明け方の夢に涙し - 2002年01月10日(木)

明け方の夢に涙し目覚めれば 冷たき枕に 悲しみが満つ



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遠縁の人が自ら命を絶ったと聞いた晩、母方の祖父と実家の祖母が亡くなる夢をみた。泣きながら目覚めると、随分涙を流していたらしい、しっとりを涙を吸った枕は冬の朝らしく冷えていて、我がことながら眠っている間にもどれほど泣いたものかと驚かされた。

幼い頃に一度会ったきりの、正確には血の繋がりもない、顔さえ覚えていない叔父。
未成人の子供ばかり4人、残して死ぬのには一体どんな理由があったのだろう。そしてどんな気持ちで最期の一瞬を。
噂の伝播の早い閉鎖的な海沿いの田舎町で、自殺した父親を持った子供が成長するのにまとわりつく苦難は想像に難くない。そんな事は叔父だって知っていた筈だ。
しかしそれでも、死ななければならないと彼は思ったのだ、おそらくは。

自ら死を選ぶという行為が、父には全く理解できないらしい。
まだ私が高校生だった時、何の拍子にか迎えの車の中でそんな話になった折、決然とした口調で父は言った。死ぬ勇気があれば何だって出来る、それなのに逃げて死んでしまう奴は弱虫だ。わたしは黙ってグレーのセーラー服のスカートの裾を見つめた。父は心の強い人だ。とても強くて、それゆえに僅かに傲慢だ。
父には恐らく想像すら出来ないような思考経路を辿った末に世を去った叔父の心象を、ごく僅か、ほんの一握りだけなら理解できるような気がする。これは私の傲慢さなのだろうか。答えて欲しいわけではないが、答えをくれるべき人がこの世にいない事を思うと、どうにも痛々しく切ない。
















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