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千鳥ヶ淵の夜桜 - 2002年03月24日(日) 見上げる花の雲、輝く紺の闇に遠く月が浮かぶ。風が吹き抜けると一斉に花弁が舞う、音もなく、雪のように揺れながら頬をかすめる。 「桜って、匂いないかと思ってたけど、実はあるよね」 「ふうん?」 「この間、花ごとぽとって落ちたのを拾ってみたら、いい香りがした…」 「背が高い木だから、わからないんだね。花が遠くて」 「そうね、きっと」 サクラガーデンという名のオードトワレがあった事を思い出す、そうだ、去年買おうと思っていたのに結局手に入れないままだった。もう一度カウンターに行ってみようか。…でも本当は、何かの花を模した香水は悲しいからダメなのだ、私には。どれも本物の香りは勝てないし近付ききれない、それが悲しくなる。 それならいっそ、生花の香りを楽しんだ方がいい。身には纏えなくても。 -
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