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真夏の指 - 2002年06月25日(火) ツユクサの 青で染めたる九つの 真夏まぶしく胸に封じいる ********* * ***** *** * いつからだろう、気が付いたら暖色を好きになっていた。昔はもっと苦手な色が多かった筈だ。ずっと敬遠していたピンクや赤を積極的に纏うようになって、わたしのワードローブは恐ろしく様変わりした。高校生までの私のクロゼットの中身は、白、水色、青、紺と黒ばかり。「パステルを着てるイメージがある」と言われて驚いたのは何年前だったろう。ゆっくりと禁忌を解凍するように色の好みは変わったと思っていたけれど、基本的なところでは多分幼い頃から殆ど変わっていないのだと、この間ふと気付いた。叔父の神前結婚式、三三九度のお酒を注ぐ子供の役目を負った時着ていた着物、あれは確か紫に近い青で菖蒲の花みたいな色だった。子供心にあの色はとても好きで誇らしかった事を覚えてる、子供用に限らず女性の着物の色は殆どが暖色で、あんな色合いは相当珍しい。小さな頃の断片的な記憶、真夏の朝の道で見つけた露草の青、摘んだら指が染まってしまった事、その時の頭上の抜けるように晴れた空、遠くの山の陰には入道雲の予兆があった。 -
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