とこしえを - 2004年07月31日(土) まだ誰もとこしえを知らぬこの国の地平まで夏は腕を広げる ********** ******* ** * 陽が落ちてからようやく流れ始めた風に乗って、エコーのかかった祭り囃子が届く。遠くの夕雲の陰は深くて優しい、濃密な虹を溶かしたような甘い色合いで、かたく結ばれていたものがほどけそうな気持ちになる。予定通りに仕事が1つ終わりを迎えて、来週からようやく土曜夜が空くことになるのに、なぜだか私はあまり嬉しくない。大きな河が静かに横たわる街、土手沿いに緑と花々の揺れる風景、きっともう来ることはないと思えば随分寂しい。 ガラス張りのビルの最上階で食事を摂る、私の席からは花火が、向かいに座る知人からは14夜の月が見える。花火と月光は本当は空に同居しない方がいい、花火が弾ける時、あらゆるものに夜の影が広がるあの瞬間が、本当に稀有で美しいと思うから。 -
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