日々是迷々之記
目次|前|次
秋晴れの空に導かれるように、自転車でこぎだした。昨晩の夜更かしがたたって、とてもおはようございますとは言えない時間に家を出たが、汗もかかない。もう夏はどこかへいってしまったようだ。
(こんなぎりぎりに来て)「嫌がらせっすか?」などと軽口をたたかれながら、肩に電気を当てつつ談笑する。話のネタは、マックの話、デジカメの話、などなど。
担当のS先生が来て、いつものようにホットパックで膝を暖めてから、私はうつぶせになり、先生が渾身の力を込めて曲げに入る。最近やっとカカトがお尻に触れるくらい曲がるようになってきた。本当ならばこんなには曲がらなかったはずなのだ。嬉しい誤算で痛いけれど、つらくはない。正座も出来るような勢いだ。
先生も喜んでくれているようで、「今やから言えるんですけどね。」って感じで裏話を披露してくれる。「すっごい痛がり」、「めがねがこわれたままの人」などなど、私は入院中、かなり特異なキャラだったようだ。
施術が終わって、自転車で走り出す。こんな日にまっすぐ家に帰るなんてアホやと思い、お気に入りの川沿いの道へ。ビルの谷間に青空。川の水はお世辞にもキレイとは言えないが、空はいつも空。大きく強くて、かっこいい。今日は青い空に白い雲。好きな形の雲が入る位置で自転車を立てかけ、バックパックから「写るんです」を取り出し、パシャリ。まだまだ走ろう。
自転車は都会の遊撃手のように、イチョウ並木と人の群れをすり抜ける。渋滞する車を横目に見て、ぐんぐん進む。おしゃれカフェ地帯に入った頃、お茶を飲もうかと思ったが、まだまだ走りたかったので、走った。自転車のフレームにはボトルが付けてあり、いつでも水が飲める。乾いた空気の中では水がごちそうなのだ。
結局10キロほど遠回りして、うちの街に帰ってきた。ツタヤで井上陽水と、ドラゴンアッシュのアルバムを借りる。スーパーで晩ご飯のお買い物。都会の遊撃手はママチャリに変身。ハンドルにスーパーのビニール袋をかけると走りにくくてしょうがない。結局片手運転で帰ってきた。
マンションの3階まで階段で自転車を持ち上げると背中にうっすらと汗をかいた。しかし、夕方の風はひんやりしていてくしゃみが出た。 でも、明後日入院してしまうと、なんだかんだで3週間くらいは自転車はお休みになってしまうだろう。本当に短い秋だけど、できるだけ満喫しよう。
さて、明日はどこを走ろう。自転車、パンクしないといいなぁ。
|