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『人生、一度きりよ』
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よく寝たらちょっとすっきりした。
きのう『鏡子の家』を読み終わった。でなぜ「失敗作」と言われたのかはわからなかったので、当時の批評を探してみると、どうやら三島が「ぼくはこの作品では『時代』を書いた」と言ったことに対してであるらしい、ということがわかった。 つまり発表当時の批評家たちは「ぜんぜん時代なんか書けてない。三島の分身が何人も出てくるばかりで、登場人物の対立もありはしない」と切り捨てたらしいのだ。
ふうん。 はたして三島由紀夫がほんとうに「時代」を書こうとしたのかはわからないし、その批評にあるように「書けていない」のかもわからないけど、私には面白かった。主要な登場人物はすべて三島の分身であることは確かだが、それのなにがいけないかがわからなかったのだ。
三島由紀夫を読むとき、少なくとも私は、三島由紀夫の物事に対する感じ方を知りたいと思って読んでいる。だから、むしろ登場人物はすべて三島由紀夫のほうが好都合なのだ。一般的な風刺とか、驚くような筋書きとかは、彼に求めるつもりはない。ただ、冬の光があたりをどう照らしたか、とか、そのとき僕はなにを思ったか、とか、そういうことが書いてあるだけでいいのだ。
なんて、やだなあ。まるで熱狂的なファンみたいじゃんか。
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