先日ケアマネさんから、うちのオトボケ様を受け入れてくれる施設が見つかったとの連絡をいただいた。
前回のお試しデイサービスで早々に出禁を食らい、ほとんどの施設から受け入れ拒否をされていたが、とあるデイケア施設が「一度お試しで」と前向きなお返事をくれたそうだ。
とは言え「お試し」である。 また出禁を食らう可能性はある。
前回の失敗を糧に、今回は出かける際にこう声かけしてみた。
「今日は病院にいくよ。ママの定期健診の日なんだけど、検査の際に必要だからこの紙パンツをはいてきてくださいって指示があったけん、これにはきかえておいてね」
当然返事は「えー」
「検査のときにどうしてもこれじゃないと困るんだってさ」と私。
すると 「ふーん、じゃあしょうがないねー」とはきかえるオトボケ様。
ほうほう。
「ねえ、この上からパンツ(下着の)はいてもいい?」
……なんでやねん。
「はいてもいいけど、よけいモコモコして上からズボンはいたら歩きづらいかもよ。検査終わったら脱いでふつうのパンツに履き替えていいから、それまで我慢しとけば?」
「あはははー、それもそうねー」
そう言って、素直に紙パンツのままズボンをはいた。
おお!なんという進展!
これを見て私はすぐに、デイケアの担当者宛に手紙を書いた。
今朝、はじめて紙パンツをはいてくれたこと。 その際の声かけの内容。 彼女の嫌いなこと。激怒スイッチになること。 彼女が喜ぶ、好むこと、好む話。 彼女がよくリピートする話。
要点だけさっくりまとめ、 これを着替え等の持ち物を入れたバッグと共に送迎の方に渡し、いってらっしゃーいと送りだした。
……さて数時間後。
帰宅した母はニコニコお元気で、私は玄関先でケア担当者さんと話をする。
「お手紙ありがとうございました。とても参考になりました。それとですね、前回の話をケアマネさんから聞いていたので、トイレの際に注意して見ていましたが、一度も失敗されることなく過ごされていたんですよ。紙パンツのチェックもさせていただいたんですが、全く濡れていませんでした」
え? 久々にキツネにつままれる感覚を味わう羽目に。
紙パンツが濡れた濡れてないというよりも、紙パンツのチェックをあのオトボケ母が「させてくれた」ことのほうに私の頭󠄀はぶっ飛ぶ。
大激怒された前回のデイ担当者が一体どのような声かけをしていたのかは知るよしも無いが、こちらの担当者さんは、オトボケ患者対応のスペシャリストなのではなかろうか。
体調とかご機嫌の云々もあるだろうが、とにかく今回は大激怒することも暴言吐き散らすことも、着る物や車のシートを汚すことなく無事にデイを終えて帰宅したのだ。
いやもうなんて奇跡!
紙パンツをはいてくれたのは大きな一歩ではあったと思うが、彼女が他人にトイレについてこられたことに対して激怒しなかったのは本当にすごいと思う。
もちろん今後のデイケアについても受け入れ可能ということで、話はとんとんと進んでいる。あとは外出の際の紙パンツを習慣化させてしまえば良いだけだ。 まあ、毎回定期健診と言っても構わないんだけれども。←オトボケ様はどっちみち秒で忘れるんで。
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