浅間日記

2004年06月08日(火) 星の牧場

昨日帰宅。
依然発熱。が仕事。能率が全然あがらない。

昨日車中で読んだ、「星の牧場」という本。

戦争で記憶を失い、山の牧場へ帰ってきた、「モミイチ」という男の物語。
戦地で失ってしまった持ち馬「ツキスミ」への思慕が痛々しい。
そして美しく幻想的な自然の情景が、このファンタジーの特色である。

モミやツガ、コケモモやなんかが出てくるから、おそらく
舞台は標高2000m以上の亜高山帯から高山帯にあたる場所であろう。
ジプシーとして登場する「山の衆」は、
まあサンカの類を表現しているのであろう。
ジプシーたちは森で、社会から距離をおいた生活をしている。

一人のジプシーの男の言葉。
「おれが、そもそもジプシーになったのも、

人間のさびしさをまぎらわそうとするためであった。

ひととはなれて山のなかをさまよっていることは、そりゃさびしいさ。

しかし、人間てものは、人間と人間といっしょにくらしていても

さびしいもんだから、しょうがねえなあ。

(中略)

おれがオーボエなんてけいこしはじめたのも、

いや、おれだけじゃねえ。ジプシーたちがみんなそろって

笛をふいたりラッパをふいたりするのは、

みんなちからいっぱいためいきをついているみたいなものなのだ。」


*


物語の後半で、
熱でうなされたモミイチが、愛馬ツキスミを想う場面。

「どこだ どこだ おーい ツキスミ ツキスミ

ツキスミ かわいよな あいたいよ

なあツキスミ 寒いか かあいそうよな。

雨はつらいよな、こらえてよな。ツキスミ おれはあいたいよ

ツキスミどこだ ツキスミつらいよな いつもいつも

いっしょにいたいよな。

モミイチは高熱にあえぎながら、なみだをながしていた。

ツキスミ ツキスミ と口ばしって、なみだがとまらなかった。」


幻聴が聞こえるほど、頭がおかしくなるほど、
誰かを失って悲しいという思いを、私はまだしたことがない。


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