全て覚えている訳じゃない だからこそそれは美しく
忘却が無ければ只の記憶 どんなに鮮やかに彩られようと モノクロの想い出に敵いはしない・・・
お花見なんて、何年ぶりなんだろう。
小さなあの町で、有名な八重桜の名所。 あたしはいつも、其処を家族で訪れていた。 ぼんやり灯りに照らされて、闇に浮かぶ華やかさ。 一人で迷い込む、妖艶な世界。
想いを飛ばして、懐かしむ事の出来る記憶。 それはあたしを支える、小さな一欠けら。
目の前に広がる景色は、あの場所とは違う。 隣に居る人たちも、あの時とは違う。 似ているようで、全く違う。 これがあたしの、今の全て。
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