来年の干支は「馬」ですね。 「馬」というと、オーストラリアの農場で出会った馬のことを 時折思い出します。
10年ほど前、オーストラリアに旅行した時のことです。 訪れた農場で、柵にもたれかかるように立っている馬を見つけました。 近くに他の馬の姿もなく、少し寂しそうにも見える馬・・・・。 その姿が何となく気になって、私は馬へと近づきました。 すぐ傍まで私が近づくと、馬はふっと顔を上げました。 「あっ・・・・・・」 私は息を飲みました。
その馬には、目が片方しかありませんでした。 馬は残った片方の目をこちらに真っ直ぐに向けてこちらを見ています。 私は片方の目が無いことへのショックを感じながらも 瞳の美しさに魅入ってしまいました。 つぶらな黒い瞳は、美しく潤み、優しい光りをたたえていました。
初めて会った、異国の馬。 たった数秒間見つめ合っただけで、その馬の優しさを感じました。 馬を触ったことのない私も、何故か恐れずに馬の頬に手を添えていました。 初めて触れる馬の温かさ。 馬も手に頬をすり寄せるようにして甘えてきます。
何も語らなくても、何も知らなくても、感じられることの確かさ。 手から伝わる、熱い生命力。 言葉には出来ない、何か通じるものがありました。 10年経った今でも、昨日のことのように思い出せます。
忙しく過ごしていると、こうした感覚が鈍くなりがち。。。。 四季の変化や、心の出会いをいつも感じていたいですね。
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