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子供の水泳には気を使うのだから、始めたことは続けさせたいと思っているんだな。
また夜中に夢を見た。どうしても許せない、どうしても許せないの、とパパさんに 言った。何を許せないの?夢の中で殺したいと言った。その人のことを私はほとんど知らないが、仮にその人がどんなに嫌な性格の人だとしても、その人は私に何をしたわけでもない。私が許せないのはその人じゃないのだ。
源氏物語の六条の御息所の話を思い出した。六条の御息所って気の毒な女性だなと思っていた。気の毒なのは亡くなった夕顔とか葵上とかの方かもしれなかったけれど、生霊となったりする気性が気の毒で気の毒でならなかった。だってこれじゃ、 無邪気に愛せない。葵上も気の毒だよなあ。打ち解けられずそんなに取り澄ました 態度でいられてはかなわんなどと源氏に言われて、こんな文句は苛めだ。それだったら源氏が猿真似でもして葵上をけらけら笑わせてやれよ、と思う。
確かに感情のもつれというのはとても理不尽で、身勝手なものだ。六条の御息所ってなんだかとてもかわいそうな気がしたのは、私にも彼女のように素直に自己表現できないところがあるからだと思うのだ。やだやだ。思い過ごしよ。第一私は彼女みたくに高貴な女性じゃないし。でも彼女が源氏を忘れられるくらいの人に出会えて幸せな女になる物語を創作したいな。ああ、彼女の時代にはまだ江戸の町は なかったのか。東国のお人よしな山賊にさらわれて女将になる六条の御息所。相当な山ノ神と化すに違いない。髭もじゃの恐持ての山賊もその雷には縮み上がるしかない。しかし、どうしたんだ?と訝りながらも、山賊には高貴な女性もただのヒステリー女でしかない。しかし、御息所は憤りながらも何故か山賊のホットさにほろっときたりするところが世間知らずの元乙女なのだ。あ、何だか幸せな気分になってきた。馬鹿だねー。
漢字の書き取りの宿題したら?というと、息子は泣きべそをかいてパニックになる。でも、泣くほどのことか。こんなことでいちいち泣いてたら千年あっても足りない。パパさんと一日1字は覚えるって約束したというのに、逃げることばかり考えている。別に今は漢字わからなくても、ひらがながわかれば変換できるじゃん、 という気もするが、かなり抵抗があるみたいだ。なんでこんなくだらないことで 子供のお尻を叩かなくちゃいけないのか、くだらなすぎると思う。でもとにかく 泣きながら、少し書き取りした。
しかし私が煙草また吸ったら宿題しないとか言う。なんでよ、いいじゃない煙草 吸ったって、二十歳過ぎの大人じゃん、と私は言う。あんたが宿題するのは別におかあさんのためじゃないんだからね、おかあさんなんていつまでもいないんだからね、と言うと、この暑いのに抱擁しにくる。かわいそうにこんなにスキンシップ派ではそのうち彼女にも邪険にされるんじゃないかな、私は人情の機微には疎いけどね。でも、見てみい、灰皿はピカピカのままだ。
アニメ見ている間にあっという間におじいさんになっちゃうよ、と息子に言うと、本当にあっというまにおじいさんになっちゃうと思う?じゃあ、言ってみるよ、あっ!ほら、あっ!って言ったけど、まだおじいさんになってないじゃん、などと言う。
これじゃあ、せっかくの危機感も逃げてしまう。何か面白いことないかなー。
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