�蠧�記
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だんなさんを無視できなくなったのは、彼が僕っていったい何?と怒ったときだった。 それまでも別に彼を無視していたというわけではないけれど。 そのとき私の口はすべったのだ。あなたが一番大事な人だなんて。そんなことそれまでぜんぜん思っていなかったのに。どうして私はそんなことを言ったのだろう。どうしてそんなこと私が知ってるわけないじゃないのとありのまま正直にいえなかったのだろう。私が彼について断言できるのは、彼は女性には見えないということくらいじゃないかな。だからちょっと私はリップサービスが過剰だったのよ。それじゃ疲れるに決まっているじゃない。もともと私はおしゃべりが得意なほうではない。そういうものが人を持ち上げるようなことをいうのは危険だと思う。だけどうそをついたわけでもない。私はやっぱりそのとき彼を誰よりも好きになったのだと思う。そんなふうに私に怒ってくれるのはありがたいことだと思われたのだ。一番という言葉はわれながらまゆつばものなんだけれど、それでもなんだかうそでもなくなってきたような気もする。これも危険だと思うんだけど。どういうふうに 危険だと思うの?だってねえ。
そういっているうちに風がひゅ〜〜〜〜るるるるると渦巻きだしたのでさっしの ガラス戸を閉めていたら、だんなさんからかさをもって子供を迎えにいったほうが いいんじゃないかと電話がきました。今外見たけど雨降ってないよ。
子供はまた出かけた。
坊さんは過去はもはやないものだという。少なくともスリランカのお坊さんはそう語った。過去がないのだったら未来もないような気がする。今はあるか。
小ぶりのいかが何枚か冷凍庫に入っていたので、それでカレーを作りたいと思った。ジャガイモが結構ある。にんじんも一本ある。たまねぎはないな。なくても いけるかな。ないとだめかな。白菜をカレーに入れるのはどうかな。
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