�蠧�記
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先日息子が元の学校の先生にお手紙を書いたときは、便箋約一枚で封筒に宛名書きを済ませるのに約五時間かかりました。 それでも、ひらがなも書けずに一年生になったころは、急に字の練習をしようとしても力が入らなかったことを思うと、近頃は力の入った字を書くようになってきた。書き取りの宿題を怠けなくなったかいもあって漢字も書けるようになってきた。いわれたとおりではなくて自分が書いてみたい内容書きたくない内容を譲れないところがある。 季節の挨拶状は先生からいただく前にこちらから出すものじゃないかと思うのだけれど、私自身書かずにいる年も多いし、とにかくしっかりしたお友達からいただいた年賀状などのとにかく宛名書きだけでも自分で書かせて返信を投函するように なったのがつい最近で、その宛名書きに要する時間がたらたらととめどなく長くて 、宛名書きってそんなに大変なことだったの?と心身ぐったりするのでした。 私は二十歳過ぎのころに必要だからとってほしいということで車の免許を六ヶ月 かけてやっとこさで取得したことがあるのだけれど、取れたときになんだか免許とることがすごくすごいことみたいな感じだな、といわれたことがあった。たいして苦にならずにちょちょっと取れてしまった人から見ると苦笑ごとのようだった。苦にならずにちょいちょいと気軽にしている人からすると、なんでそんなに、ということでも、本人は気が遠くなりながらもただ一心にやったことなんですよね。 だから便箋で手紙を書くようになったということはうちの息子にとってはとにもかくにも大進歩なのです。プレッシャーを感じすぎて宿題をためがちでにげていたのが、これではいけないと自覚して朝起こされなくても自分でおきて宿題をするようになったのも、今まで比べると奇跡的なんです。 下級生の男の子で息子を慕ってくれるお子さんがあって、すごくまじめで立派なうれしいお手紙を下さるのだけれど、そのうれしさの前には、やはり一通書くのに何時間かかろうが、字がいかに不ぞろいでつたない内容であろうがかまわないと思うのです。きれいな字を書こうとするのも相手に対する誠意だけれども、まだぼくはきれいな字をかけないからといってやめてしまうよりも、相手がふっふっふ俺のほうが上だな、と思ったとしたら、それも案外いいことしていることになるかもしれないし。そんなことない?
ああまた5時間。先が思いやられるとかため息をついてはいられない状況だと 思うんですけど。
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