�蠧�記
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何だか思い出しちゃった。
私は子供の頃大好きな長兄が愛した人だから嫂を丸ごと私の実家に受け入れて暮らしていた。 彼らが夫婦喧嘩していた時は、姑息と思われるかもしれないが、嫂の肩を持った。 私が兄の肩を持ったら、嫂はこの家にいられなくなるような気がした。
わたしの祖母は女子教育に情熱を持っていたと思うし、母も二十代の頃は父よりも高給取りだった。 嫂も仕事のできるひとだ。仕事が早いと自負していた。特に二十代の頃は。
私は満員電車の場合は、次の電車を待つ方だ。走って滑り込みセーフなどとぎゅうぎゅうづめの中に押し込まれたくない。一つには胸が苦しくて頑張れなかった。
水の美味しさを知るのは体育会系の部活だが、私は続かなかった。いっそ女子バレーでアタックNo. 1の青春を追いかけたら、無理だったかな? 入学したての頃、自分が目的のサークルや部活動に直行すれば良かったのに、ぼやぼやきょろきょろしているうちに、目についた女の子が入りたいという部活についていってしまったのだ。
嫂は最初のお子さんで女子校に通ったらしい。
女の子三人で卒業旅行した時の楽しさを思うと、女子校って楽しそうだ。この次は小公女じゃないけど、寄宿学校に入れられてみたい。
でも恋人でも夫婦でも、学校でも職場でも、きっと、両面あるよな。小公女も、お父さんが亡くなった途端に、学校の小間使いになった。 で、何でしたっけ?
ウクライナの少女が挨拶できないのは野良犬だと言われたという事でした。
で、私は、日本人ですし、嫂は外資系の会社で働いていたがやはり日本人ですが、嫂は私の事を、 野良犬みたいな娘だ、と言ったのでした。
思えば、私の父と母は、嫂のご両親の注文で、長兄と嫂とを二人だけで暮らさせてくれるな、ご両親と同居でなければ承知しない、と言う事で、同居して暮らしていたが、私が就職せず進学したいと望んだ時点で、出稼ぎにでなければたちいかなくなり、兄と嫂と私は、元々の実家に置いていかれて、そこから お勤めや学校に通った。というより、嫂はその頃はもう出産後で、主婦になっていたのだな。私も洗濯等後片付け、夕飯作りなどを嫂と共にするのが結構楽しかった。 ただ、私の親は、私の門限などについて、全く何も言っていなかったので、私は友達と会った時に 嫂に今晩は女友達の下宿に居ると電話するなり出掛けに言うなりしないと心配をかけるとか、もっと友達の話を屈託なく話すとかしていなかったのは、全く嫂に対する悪意からではなかった。 単に、思いつかなかったのだ。ペンパル広告を出して、海外文通にはまっていて、それについて詳しく家族に話したりしていなかった。そのうちに卒論となり、ますます引きこもりのように辞書などに熱中していたので、きっと嫂はすこく心配していたんだろうな。 自分たちも十九や二十歳にはかなりねんごろだったから、あまり厳しい事もいえず、もしかして男の人と とか妄想していたかも。
次兄の結婚式の時のドレスを着ると結構大人っぽく見えたから、次兄の友人など、姉妹の無い人には、 私の嫂やお母様や叔母様たちのように女子校的女性に慣れている人には、何かが外れているように見えたろう。いやしかし、娘の父方のお祖母様は、共学だった、小学校は。
私の母たちは、十八や二十歳ごろまで戦争で、東京大空襲の中でお勤めに通ったりしていたので、あまり ええとこのしの門限のようなものの世界は既に壊れていたのだ。府立の高等女学校は女子校だったが。 学徒動員の工場では男女の交際もあり得たようだしな。 そんなわけで、私の娘の父親が、私の男性関係がどうなっているのか、白羽の矢を立てられたのかもしれない。 経験あるだろ、あっても不思議ではない、と彼は言った。
叔母様の部屋の隣の部屋からお勤めに通っていた友人は、一人娘さんで、私も気持ち的には女の子としてはひとり娘だ。ぽよよん族の女の子二人のお泊まりについて、もし外泊するのだったら、嫂に、おねえさん?あ、わたし、今晩はね、高校時代のべけちゃんのお部屋に泊まらせてもらうから、心配しないて、 と電話するのが筋だと今は思うが、実は、したかどうか定かでない。
それにしても、野良犬みたいな娘という表現はショックだった。こういうと、本当に飼い主に遺棄されたわんちゃんたちに失礼かもしれない。
しかし、私にすれば、嫂は、親戚の女の子が私の実家に下宿していた頃にうちに迷い込んできた女の子で、それですから、私の兄が惚れ込んで、従姉妹は部屋を出て、その後あ、お兄ちゃんの彼女になっていたんだ、ということで兄が彼女として家に連れてきて顔見せになったので、ですから、上京して就職したのはたいしたものだが、野良犬のようにうちに迷い込んできたのはおねえさんの方だったじゃない? と言いたかったところはある。
いえ、ご心配かけて申し訳なかったとは思っています。本当。 しかし、ほかにも、言いたい事はある。
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