※祝! 榊さんCDドラマ登場確実!!!!!!!!【喜】 いやー、アニメイトでのっぺりが貰って来た機関誌に乗ってたCDドラマ情報見たら、ちゃんと坪井サンの名前が載ってるじゃああーりませんか! それもくわはらさん、石田彰さんの次の3番目! 快挙快挙v いくら何でも、犬神役で登場、ってことはないですよねえ? ・・・今回、序盤はちょびっと気色悪いです。お食事中の方は読まない方が良いかも・・・(汗)。 ************************* 茂保衛門様 快刀乱麻!(5) 「八丁堀、あんたよくあんな上役に仕えてられるな」 なんて、失礼極まりないことを言ってる《龍閃組》を牽制しておいて。 あたしは笹屋の奥へ、奥方にいざなわれて進んだ。 そのうちたどり着いたのは、どこからか漢方薬の匂いが漂って来る部屋。何故か襖の脇に、行灯が置かれているのが目に付く。 ・・・部屋の中に置かないで、どうしてここに? 歩くのに邪魔じゃないのかしら? 「主人の・・・久兵衛でございます」 奥方に言われるまでもなく、そこが笹屋の主・久兵衛が寝かされている部屋だとピンと来たあたしは、襖が開けられるのももどかしく足を踏み入れる。 「・・・・・!」 久兵衛の姿を一目見るなり、思わず体が後ずさりかけるが、そこは男としての意地と虚勢、何とか踏みとどまった。 だって・・・そこにいたのは、生きながら地獄を味わっている、黒焦げの半死人だったもの。 胸が上下しているから、生きているのはわかる。 けどその目は、開いてはいるもののうつろで、口は唇が焼け爛れて歯茎が見えてる始末。顔だけ見てると、まるで骸骨みたいになってたわ。多分喉も、まともに言葉を発する事が出来ないくらいに、ヤラれてるわね。 おまけに、洗いざらした白い布に隠された火傷だらけの肌が、わずかに蠢いているのが見えた。 ・・・蛆、よ。 まだ生きているって言うのに、産み付けた蝿は彼を死体と判断したんでしょうね。あちらこちらにぽつぽつと、蛆が湧いているのが見えたわ。 ───あたしはこの、久兵衛って男は事件帳簿でしか詳しくは知らないけど。 一体彼には、こんな目に遭わされるどんな理由が、あったというんだろう。 生きながら火に焼かれ、何とか生き長らえながらもその身は、蛆に巣食われつつあるなんて・・・これを地獄絵、と言わなくて何と例えればいいの? あたしは何とか平静を装おうとしたけど、お化粧をしているわけじゃないから顔色の悪さは、誤魔化しようがなかったんでしょうね。 「・・・ちょうど十日前の夜でございます。この部屋にいた主人が、あのような事になったのは」 奥方はそう言って、自分が部屋を出る事であたしも廊下へ戻るよう促してくれた。 これ幸いとあたしが廊下へ出るとすぐさま、だけど静かに襖が閉められる。 「助けを呼ぶ声がいたしましたので、私がこちらへ来てみれば、主人は炎に包まれておりました。慌てて火を叩き消しましたものの、その間焼かれ続けていたため、あのような・・・あのような姿に・・・」 脅えたような奥方の言葉を心の中で反芻していたら、そう言えば部屋の畳や壁の一部に、焼け焦げの後があった、ってことを思い出したわ。 にしたって、言われないと気が付かなかったなんて、正直言って失態よね。いくら虚勢を張っていても、心の動揺は押さえようがなかった、良い証拠だわ。・・・ったく、自分ながら不甲斐ないったらありゃしない。 そう言えば・・・今また思い出したけど、部屋の中にはいくつか、水が入ったタライが置かれていたわね。久兵衛の体を拭いたり、火傷した肌を冷やしてやるためにしては、1かたまりにしてなかったのは変よ、変。 まあ、そのうちこの件に関しても聞き出せるでしょうけど。 「こちらへ来た、って言いましたけど、その時あなたは別室にいたと言う事なのですね?」 「さようでございます」 「・・・夜なのに?」 仮にも夫婦ともなれば、その・・・ちょっと下世話な言い方だけど『夜の営み』とやらがあるんじゃないかしら? それともこの2人、そっちの方はとっくに枯れてたってこと? 何となくその辺りを匂わせて再度尋ねたら、奥方は恥ずかしいような、それでいてどこか寂しそうな表情を、頬の辺りに浮かべた。 「いえ、その・・・このところ久兵衛は夜、ひどくうなされていまして。その姿が我ながら情けないと、誰にも・・・妻であろうとも見られたくないと言いますので、私は別の部屋で休むようにしておりました」 情けない、ね。 同じ男として、その気持ちは分からなくないけどこの場合、眠る時彼が奥方を遠ざけた理由を、言葉通りに解釈しちゃうのは危険だわ。 「それで当然、すぐにお医者を呼んだのですね?」 久兵衛の部屋のとなりで、奥方は質問に答えながらお茶を出してくれたけど、あたしは飲まなかった。喉は渇いてたものの、ゆっくりしてる暇はないですからね。差し出された座布団には、ありがたく腰を落とさせてもらったけど。 「はい、夜のうちに。先生には悪いとは思ったのですが。・・・先生の見立てでは、体の大多数が焼けてしまっている。喉笛もやられていて、話す事も出来ぬだろう。持ち直すかどうかは五分五分だ、と」 あたしだったら、久兵衛のあの様子じゃ先は長くない、と見るけどね。ま、馬鹿正直に言って、ただでさえ憔悴しきってる奥方を絶望させる事はないか。 「火は・・・まあお屋敷自体は燃えていないから、即座に消しとめられたのね?」 「は、はい」 「その火は失火だったの? 久兵衛が自分で自分に火を付けた、と言う事はないの?」 出鼻をくじかれてたけど、こうやって話してるうちにだんだん、火附盗賊改としての調子が出てきたわ。あたしの口調、何となくキツ目になってきてるものね。 けど、奥方の方もそれは同じだったみたい。火附盗賊改に詰問されているにもかかわらず、さっきまでの脅えようとは打って変わって気丈に反論した。 「滅相もない! 部屋には行灯はございましたが、久兵衛はいつも眠る時は自分で消してしまって、念のため残った灯油も持って行け、と言うくらいに火元には気を付けておりました。今でも・・・夜部屋に明かりを点そうとしますと、怖がって嫌がるぐらいですから」 久兵衛の部屋の中ではなく、廊下へ置かれてあった行灯をふと、思い出す。なるほど、アレはそういう意味だったのね。 「じゃあ失火はおろか、自分で火を付けようにも、部屋には火の気はなかったはず、と?」 「はい。火を消した後部屋を片づけましたが、火事の原因になりそうなものは何も・・・」 「ふむ・・・久兵衛殿は随分、火の元に神経質になってたみたいだけど、前からなの?」 「・・・いえ、そのようなことは。ですがそう言われれば・・・あの、一月前の、久兵衛がそちら(火附盗賊改方役宅)へ呼ばれてからのような覚えが」 「おろくの火事のことね? それでその他に、久兵衛殿が以前と様子が変わってしまったことはなかったの?」 「そう、でございますね・・・いつも持ち歩いていた巾着を、なくしたと言っておりました。銭をそれなりに入れていて、掏られたと言う話ですが」 「それも役宅へ呼ばれた後なの?」 「はい・・・あ、いえ、確か小津屋へ、借金返済日を延ばしてもらえるよう出かけた後ではないかと。でも、あの巾着はもう諦めた、金なんかどうでもいい、そう言って、新しい巾着も作りたがらなくて・・・」 ───岸井屋の又之助の時と同じだわ。 彼も様子がおかしくなったのは、役宅へ呼ばれた後だって話だし。いえ、ひょっとしたら正確には、おろくの火事の後から、と言う可能性だって考えられる。 火事の原因になりそうなものを、何も持ち合せていなかった事といい、絶対久兵衛と又之助は、何らかの関連があったのよ。 《龍閃組》の言うところの『炎の鬼』がこの2人を襲ったのは、決して無差別的なものじゃない。何らかの共通点と理由が、あったに違いないわ。 「・・・それであなた、久兵衛がこのような目に遭った事を火附盗賊改か、奉行所に申し出ようとは思わなかったわけですか?」 話がいよいよ核心に迫りつつあり、つい荒っぽい口調になりそうなのを懸命に宥めながら、静かにあたしは尋ねた。 すると、奥方はこちらからは視線を逸らし、再び脅えたような顔つきになる。 「あの・・・本当に、岸井屋の又之助さんは亡くなられたのでございますか?」 ・・・変な事を聞いてくるわね。 だけどまあ、彼女相手に隠すほどのものじゃないし。 「ええ。あたしがこの目で、死んだのを見届けましたよ」 「そう、ですか・・・」 呟いた奥方は、痛ましそうにしながらもどこか、ホッとしたように肩から力を抜いている。 ───そう言えば、彼女はどういうわけだか岸井屋の又之助のことを、知っているみたいだったわね。何で彼に脅えてるのかしら? あたしが思案に暮れていると、奥方は何度も・・・本当に何度も躊躇ったあとで、こう告白したのだ。 「私は、申し出ようと思ったんでございます。夫があのような目に遭い、しかも原因が分からないのでは、不安で仕方なくて。それに・・・先ほども言いましたが、久兵衛はああなる前に悲鳴をあげていて・・・『やめろ、悪かった、殺さないでくれ』と、誰かに許しを請うような言葉でしたから・・・その、久兵衛が助かった以上、また同じような事が起きるのではないか、と思っていましたもので・・・」 誰かに許しを? ・・・これって新証言よね。でもこんな言葉を聞いていたんじゃ、確かに奥方もアレが失火や自殺とは、思わないでしょうよ。 それと、さっきの久兵衛の部屋に点在していた水入りのタライの意味が、これでやっと分かったわよ。万が一再び炎の鬼に襲われそうになったら、あの水で対抗しようってハラなのね、奥方は。効き目があるかは、甚だ疑問だけど。 あたしがあれこれと推理している間も、奥方の話は続く。 「だから商売敵か何かに呪われたのでは、そう思いまして。せめて奉行所には届けようと思っておりましたら、次の日の朝早く、岸井屋の又之助さんが訪ねて来られて・・・」 「ちょ、ちょっと待って!」 あたしは慌てて、奥方の言葉を遮る。 「・・・あなた久兵衛殿は夜に、それも京橋のこの家で襲われた、って言ってなかった? なのにどうして浅草の又之助が、訪ねてきたりするわけ!? 近所と言うならともかくも」 「それが・・・又之助さんは度々、こちらへ足を運ばれるようになっていたのでございます。あのおろくさんの火事を縁に折角知り合えたのだから、とおっしゃって。主人が大火傷を負った次の日も訪ねて来られるはずでしたから、夜が明けてから使いをやりました。本日主人は会う事が出来ない───そう言(こと)づてて」 「そしたら慌てて駆けつけてきたのね?」 「さようでございます」 岸井屋の怪しい挙動、更に露見、ってところかしら。 「・・・それで? その様子だと又之助はあなたに、久兵衛殿とどうして会えないのか、と詰め寄ったんじゃないんですか?」 聞きながらも、あたしには何となく見当がつき始めている。又之助が次にとった、愚かな選択の行方が。 果たして、久兵衛の女房は脅えながらも頷いたのだ。 「は、はい、さようでございます。私は見たままをお話しして、これから奉行所へ届け出るつもりなのだ、と言ったのですが・・・。 『そんなことをしてどうなる! 呪い殺されかけたのだと言ったところで、奉行所が信じるわけがない。下手をすれば火付の罪で、久兵衛もあなたも死罪になるのがオチ。幸い奉行所も火附盗賊改も気づいていないようだから、このまま黙っている方がいい。儂も知らぬフリをしておいてやるから』 そう言われて・・・わ、私は死罪と聞いて恐ろしくて、又之助さんの指示通りにしようとっ・・・」 「あの馬鹿・・・っ!!」 はしたなくもあたしは思わず、死んだ又之助を罵倒せずにはいられなかった。 又之助は自分で自分の首を絞めたのだ───そう、直感したから。 どんな事情があったかは知らないけど、又之助は久兵衛が炎の鬼とやらに襲われたことを隠そうとした。もしその時に知らせていてくれたら、まだ何らかの手だてを打てたかも知れないと言うのに。 その挙げ句に、又之助自身も炎の鬼に襲撃され、ついには殺されてしまっただなんて! こういう自分本意な人間って、一番始末におえないのよ。久兵衛がこんな状態になった以上、手がかりはあの男だけだったって言うのに。死人に口なし、って良く言ったものだわっ。せめてあと何人が狙われているのか、それとももう誰も狙われていないのかぐらい、言い残して行ったらどうなのさっ! ───だけど、冷静なもう1人のあたしは、耳元でこうも告げていた。つまり又之助も久兵衛も、命を狙われていた事すら黙っていなければならないほど危険なヤマに、首を突っ込んでいたんだ、って。 多分それは、事が明らかになれば死罪間違いなし、の大それたことだわ。そして又之助の方は半ば開き直っていたけど、久兵衛はある種の罪悪感にさいなまれていた。それこそ、夢でうなされるくらいに。だけど奥方に寝言を聞かれる事で、自分のしでかした事が露呈するのにも神経を尖らせていた、としたら、彼らの挙動不審の理由にも筋は通るわよね。 火事の時に泥棒でも働いたのかしら。でも、少なくとも又之助の方は金回りが良くなったとは聞いてないし。岡場所には入れ揚げていたみたいだけど。 混乱寸前の神経を宥めつつ、あたしはすっかり縮み上がっている笹屋の女房に話し掛ける。 「・・・大丈夫ですよ。死罪になんて、おそらくなりはしないでしょう。少なくともあなたはね。だからこの際、ちゃんと私たち火附盗賊改に協力いたしなさいな。きっと、悪いようにはいたしませんよ」 久兵衛の方はあるいは、死罪を言い渡されるかも知れないけど───とのあたしの心中は、もちろん口には出さない。 思ったとおり、女房は心底安堵した表情になる。そこに付け入るように、あたしは質問を続ける事にした。 「ところで、又之助がよくこちらへ来ていたと言う事ですけど、久兵衛殿の方は岸井屋へ出向いたりは、しなかったのですか?」 「いえ・・・そう言えばいつも、又之助さんばかり押しかけていたような気がいたします。それこそ毎日のように。もっとも主人があのようになってからは、黙っていろと言った日以来、来られていませんけど」 「元気な頃の久兵衛殿は彼を、歓迎してましたか?」 「・・・どちらかと言うと迷惑そうな、怖がっていたような風でしたか。でも押し切られている感じで、いつも渋々応じておりました」 ふむ。どうやら主導権を握っていたのは、やはり又之助の方らしいわね。そして久兵衛は従わざるをえない立場だった、と。 多分久兵衛は、又之助に絶えず見張られていたのよ。彼は又之助に比べて気弱だったみたいだし、良心にかられて火付盗賊改なり奉行所なりに駆け込まれてはコトだ、ってことで。 「他に、火事の後で親しくなった人間はいなかったのですか? 久兵衛殿もですが、又之助の方にも」 「存じておりませんが・・・又之助さんのように、言い方は悪いですが強引なぐらいによしみを結ぼうとした方は、いらっしゃらなかったと思います」 うーん、それじゃあ、2人を襲った炎の鬼にまだ狙われている人間がいるかいないか、判断に迷うわね。 それにしても・・・奥方の話だと、久兵衛が襲われたのがちょうど十日前。だけど次の又之助が殺されるまでには、九日も間が空いてる。これってどういう事なのかしら。 久兵衛で失敗したから念には念を入れて、又之助殺害の時には時間をかけたのかもしれないけど、普通こういうことって日をおかずに一気に実行するものなのよ。少なくとも、あたしたちが普段相手にしていた盗賊たちはそうだわ。その方が狙う相手に警戒をさせる時間も、対抗する準備期間も与えずに済むから。 ・・・あるいは久兵衛の時みたいに、あたしたちが知らないだけで他にも被害者がいた、ってことなの? 毎日1人ずつ殺めて行って、久兵衛から数えて又之助で9人目、とか。けど、連続殺人ならいくら何でも、噂にぐらい昇っていても不思議じゃないはずよねえ。 こうなると、おろくの火事で火傷を負った連中に聞き込みをしてる、与助の報告を待った方が良いかも。何かめぼしい情報でも、手に入れてるかもしれないし。 それに、小津屋から火が出る前に又之助と久兵衛に会ったって言う、例の行商の油売りにも話を聞きたいわね。そっちの方も、与助に任せようかしら。 そう判断したあたしは、ゆっくりと立ち上がって笹屋をおいとまする事にした。 「それじゃお邪魔様。もし何かあったら、また知らせて頂戴な。それと今あたしに話したことは、誰にも口外しないこと。その方があなたのためでもありますから。・・・よろしいですね? 笹屋さん」 「あ、あの・・・」 笹屋の女房は脅えながら、縋るような目であたしを見上げてくる。まあ、彼女が不安であることには変わりはないからねえ・・・。 仕方がないから、あたしは振り向きざま情けをかけてあげることにする。 「・・・安心なさいな。あたしの手のものに、ここを見張らせることにします。いざと言う時に炎の鬼とやらに対抗できるように、密かに、ね」 『密かに』、そう付け加えたのは、町の皆には気づかれないようにしてあげる、と暗に言っているのであり。 それはひいては、奥方が今回の件を黙っていたことを不問に付すことをも、意味してるのよ。分かる? 「あ・・・ありがとうございます・・・・・!」 察しがいい彼女は、畳の間にこすり付けるようにしてあたしに頭を下げるのだった。 ****************** しかし・・・。 笹屋の廊下を、玄関目指してゆっくり歩きながら、あたしは頭が痛かった。 いえね、別に久兵衛や又之助のことじゃないの。玄関で御厨さんの足止めを食らった《龍閃組》が、ちゃんと納得していてくれるか、ってことをね・・・。 彼らと少しは仲が良い御厨さんに任せたから、一発即発って状態じゃあないでしょうよ。ただあたし、彼らのことを素人呼ばわりしちゃったからなあ。馬鹿にされたと思った蓬莱寺辺りに、敵愾心むき出しでやいのやいのと怒鳴り付けられると思うと、ドッと疲れを感じちゃうのよねえ。 ───断っておくけど、あたしは別に彼らに好かれようだなんて考えてない。火附盗賊改なんて言うものは、皆に恐れられる存在であるべきだから。それが奉行所とは違うところなの。そうすることで、犯罪を抑制することもできるし。 それに、馴れ合いの延長上で依存し合ってては、良い関係になれると思わないわ。今みたいに喧々囂々と、言いたいことを言い合える方が、広い意味で言えば建設的じゃない。(上役《あたし》と部下《御厨さんや与助》がそうだって言う意味じゃないわよ、火附盗賊改と《龍閃組》の関係を言ってるの) だから、これが今じゃないんなら蓬莱寺が噛み付くことぐらい聞き流してやるんだけど・・・なまじこのところ食欲がない上に、さっきの久兵衛の姿見た衝撃で体力、使い切っちゃったのよ。役宅に帰るまで、気力もつかしら? それでも、絶対弱みは見せるもんですか! なーんて気合を入れ直して玄関に戻ってきたんだけど・・・。 「あ、榊さん帰って来たよ」 ───桜井小鈴の言葉に、一斉にこちらを振り返った《龍閃組》の様子が、何だかおかしいことにあたしは気づいたのだった。 《続》 *********************** ※今回、ほとんど榊さんの独壇場ですね・・・もっと話を進めるつもりでいたんだけどなあ。まあ最初と最後に《龍閃組》が出せただけでも良し、としておかねば。
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