ナツ日記
小話




さよなら。もう二度と戻りません。



携帯なんて発明した奴、殺してやりたい。

ちなみにどれだけ理不尽な怒りかわからないほど常識のない人間じゃない。まぁどれくらいマシかっていえば、電車の中で平気で携帯で会話する奴らより?あんな大声で他人との会話とか聞かれて恥ずかしくないわけ?ほらほら、会話に夢中で聞こえないのかなぁ。「車内での通話はご遠慮ください」だって。げらげら笑われてンぜシャショウサン。人の良心に訴えかけてんだか何狙ってんだか正直想像もつかないんだけど、わかってんのかな。リスクのないルールなんてさ、猫の手ほどにも役に立たないわけだ。うん。今だろうが昔だろうが変わらない人間の心理だろ?
自分のこの状況を的確に表すとするなら子供のように駄々をこねてるのと同じ。てゆーか、この際そんなことには目を瞑ってもらいたい。少なくとも、この飽食の世界において今日の自分はなかなか不幸だろう。今の自分はなかなか惨めだろう。まあ、他人がどう思おうと勝手なんだけど、自分が可哀想だと思えば可哀想なわけだし自分が不幸だと思えば不幸なんじゃないか?
電源をオフにした携帯は軽く、まぁ傍目には軽く、放り投げられたかのようにカバンの中だ。眠気を促すかのような車内放送にしたがってるわけじゃないけど悪いことはしてないわけだし。もう、使うアテもなさそうだから、まぁそんな感じ。
ムカつくってより情けなくて涙が出るね。泣かないけど。悲しさすら通り越して乾いた笑い。笑いもしないけどね。こんなとこでも常識が優先するんだから案外真面目なのかもと思ったり。茶髪?ピアス?高校生なのに?普通デショ?
……あーあ、五年の付き合いの終結ってこんなもん?金属を思わせる高い音色が周りの視線を集めてちょっと焦ったり。そんな思いまでして手のひらに埋まる小さな画面には文字がたった数行。スクロールするまでもなく画面半分は余白。これってどんなに簡潔かちょっとわかりそうなもんじゃない?
なんてゆーか、便利になりすぎたんだよなぁ。待ち合わせ場所に相手が来なくて事故に遭ったんじゃないかってはらはらする必要はとうになくなっちゃったし。手紙なんか書かなくたって相手の声が聞けちゃう。例え海挟んでたってね。
だからって本気の人と人との付き合いでこんなもん間に挟むのは反則なわけ。口で言え、口で。目を見ろ、目を。わかってんのかよ?サイテー。今度会ったら問答無用で殴らせろ。容赦なくぼこぼこにさ。泣こうが喚こうがお構いなしに。そしたら、多分笑うんだ、俺。痣だらけで腫れ上がったお前の顔に。言ってやるよ、そうしたら。お望み通り。

『さよなら。もう二度と戻りません』

まぁそれも、縁があったら。こんなちゃっちな玩具を使わないような所で。

さよなら。涙も流れない好きだった人。



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なんだかよくわかんない一人称。冒頭の言葉からつらつらと連想したのを書いただけ。混沌としてる……
詰めが甘いのはいつものことだし、眠いしもういい。
うーん、でも話って結局自分が作るもんだから後百回くらい書き直したい気もするんだわ。複雑乙女心。