月と散歩   )   
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2002年01月14日(月) 種子島漂流記 13

『音楽』

今日は午前中だけの作業。
試験のため、機体が射点に移動しました。
僕らの仕事は、その前後、移動発射台(ML)の電気系切り離し・接続。

組立棟(VAB)の50m以上ある大扉が開いていく様は、まるでSFだ。
アタマん中で思わず『サンダーバードのテーマ』なんかが流れる。
でも実際に流れるのは『サクラ、サクラ』(警告音の代わり、らしい)。
…雰囲気、台無し(苦笑)。

その後MLは、VABから500m程 離れた射点まで、歩くより少し遅いくらいのスピードで 20分くらいかけて移動する。
まさに 壮観、の一言。
リハーサルとはいえ、いろんな想いが押し寄せる。
前に書いてるように、僕は今回の打ち上げで 自分に区切りをつけようと思ってる。
そんなんもあって、感慨 ひときわ。

―――

MLは、その下にある2台の ムカデのような車輌で移動する。

いまは普通の警告音だけど、実はコイツにも 大扉同様、『テーマ曲』があった。

…『青い山脈』…。

一体、誰が決めるんだ!?(苦笑)

しかもコレ、版権の関係で 「一小節いくら」とかでお金が掛かるらしいんだけど、予算の都合で イントロ分しかない。

…(泣)。

この前の打ち上げ失敗で、
「浮かれ気分で仕事をしてる と思われる」
と、エライ人が言ったらしく、結局『青い山脈』はお蔵入りになった。

「…イヤ、『青い山脈』じゃあ、浮かれようにも…」
と、みんな言いたかったけど、まあ 結果オーライってことで(苦笑)。

―――

そんなわけで、
僕は『普通の警告音』のなか、ゆっくり動いていくロケットを見上げていた。

眩しいやら 何やらで、景色が 歪んだ。


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