「硝子の月」
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シオンは楽しんでいるのだ。自分とのこの遣り取りを。 (気に入らないわね) まるで試されているようだとルウファは思う。それは実際、事実の一側面を捕まえていた。 「答える気が無いなら別にいいわ」 だから少女は早々に会話を切り上げることにする。 「え、いいの?」 「あんまり舐めてると痛い目見せるわよ」 紅玉の瞳が物騒な光を帯びて青年を見据え、青年は気圧されたように頬を引きつらせる。 「……って、あの白い女に伝えておいて」 「わかったよ」 どこまでが本気の表情なのか、シオンはへらっと笑ってそれを請け負った。
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